研究領域 | 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23117510
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 弘資 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10313230)
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キーワード | ミトコンドリア / ストレス応答 / ホスファターゼ / プロテアーゼ |
研究概要 |
PGAM5のミトコンドリア内での局在・配向性の検討を行ったところ、PGAM5はおもに内膜に局在することが分かり、免疫電顕を用いた解析も進めているところである。切断型PGAM5の局在および活性の検討については、切断型PGAM5のみを特異的に認識するモノクローナル抗体を新たに作製し、細胞免疫染色にも使えることを確認した。その抗体を用い、当初平成24年度に計画していたPGAM5切断の定性的・定量的解析系の確立を前倒しでほぼ終了した。PGAM5切断プロテアーゼの機能解析については、ミトコンドリアの内膜におもに局在することが知られているロンボイド型プロテアーゼPARLが、膜電位低下に依存したPGAM5の膜内切断を担うことを明らかにした。ミトコンドリアの膜電位低下に対する細胞応答へのPGAM5の関与の検討においてはおもにマイトファジーへの関与を検討したが、現在までに、PGAM5ノックアウトマウス細胞やノックダウン細胞でのマイトファジーの明らかな異常は認められていない。細胞死に関しては、少なくとも細胞傷害性ストレスによるアポトーシス誘導におけるPGAM5の寄与は大きくないことを示唆するデータを得ており、現在はネクローシス誘導におけるPGAM5の役割を検討している。個体レベルでの解析については、PGAM5欠損ショウジョウバエの解析を中心に進め、PGAM5欠損変異個体が熱ショックストレスに脆弱であり、それがキノコ体と呼ばれる脳組織における神経細胞のアポトーシスの亢進によることを見いだした。よってPGAM5は、おそらくは部位特異的に、神経細胞の熱ショック誘導性アポトーシスの抑制に働く活性を持つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通りに進行しており、一部、平成24年度の計画を前倒しで終了させている。 また、PGAM5欠損ショウジョウバエの解析結果は、すでに論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に加え、ゲノムワイドsiRNAライブラリーによる遺伝子発現抑制を組み合わせたスクリーニングにより、ミトコンドリア膜電位低下に伴うPGAM5の切断制御メカニズムを明らかにすることで、本研究の一層の進展を目指す。
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