公募研究
(1)ユビキチンのアセチル化が制御するシグナル伝達機構の解明アセチル化ユビキチンに対する相互作用因子(エフェクター分子)を精製により同定を行った。まずLC-MS/MSによりproteasome構成因子などの同定を行った。次にアセチル化ユビキチンに対するエフェクター分子の定量的検討のためにSILAC法を導入した結果、複数の既知ユビキチン結合蛋白質が同定された。これらが直接認識に関わるのかあるいはユビキチン鎖の変動の結果であるのか、検討を遂行している段階である。またアセチル化酵素の転写因子相互作用領域欠失変異体を用いた定量解析の結果、ユビキチン鎖の変動は転写活性とは独立に発揮される可能性が示唆された。(2)ユビキチンのアセチル化の基質同定によるシグナル伝達ネットワーク解明ユビキチンアセチル化を誘導する上流の細胞外シグナルと、ユビキチンアセチル化修飾の基質(下流)を同定することで、上流・下流シグナルネットワークを解明し、ユビキチンアセチル化の生物学的意義解明を試みた。アセチル化酵素の相互作用因子群を網羅的に同定したところ、細胞内蛋白品質管理に関与が知られている複数のユビキチンリガーゼが同定された。そこで品質管理機構との関連を、ショウジョウバエモデルを用いて検討した。アセチル化酵素の変異体は、プロテアソーム変異体と同様に、神経変性を悪化させることを見出した。またショウジョウバエよ幼虫を用い栄養状態制御との関連を検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初計画していた相互作用因子同定に関しては新規同定系の確立に成功して具体的な候補因子絞り込みを進めている。またシグナルネットワーク解明に関しても個体モデルを用いた検討を進めていることから、おおむね順調と考えている。
相互作用因子同定系に関しては引き続き同定を遂行するとともに、系の感度向上のためLCの分離条件の検討も並行して進めていく。またシグナル伝達ネットワーク解明のためにさらに複数のシグナル経路の検討も進めていく。
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