研究領域 | 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23117514
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕介 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (50568061)
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キーワード | X線結晶構造解析 / ユビキチン / NF-κB |
研究概要 |
脱ユビキチン(Ub)化酵素CYLDは家族性円柱腫症の原因遺伝子産物として同定された癌抑制タンパク質である。CYLDのC末端側に存在するUb-specific protease(USP)ドメインは、NF-κB活性化シグナルとして働くLys63結合型および直鎖型ポリUb鎖特異的な切断活性をもち、それ以外のUb鎖に対しては切断活性を有していない。このため、CYLDはNF-κBシグナル伝達経路に関与するタンパク質群を特異的に脱Ub化することで、NF-kBシグナル伝達を負に制御し癌化を抑制する。従って、CYLDによる癌化抑制のメカニズムの解明にはポリUb鎖の識別機構を明らかとする必要がある。本研究ではCYLDのUSPドメインとK63結合型Ub二量体および直鎖型Ub二量体との複合体の結晶構造解析、さらに変異体を用いた切断活性の速度論的解析を行うことで、CYLDによるK63結合型および直鎖型ポリUb鎖の認識、および切断活性の機構を明らかにする。 昨年度は発現量が多く結晶化に適したCYLDのUSPドメインを特定し、大量発現系を構築し、CYLDを大量に精製することに成功した。さらに、精製したCYLDとLys63結合型および直鎖型Ub2量体との複合体の結晶構造を決定した。得られた結晶構造から、CYLDのUSPドメインはUb2量体の2つのUbと同時に相互作用することでUb鎖の識別を行なっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画よりも早く、CYLDとユビキチン2量体の結晶構造の解析に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
CYLDとユビキチン2量体の結晶構造は決定できたため、今後は結晶構造をもとにした変異体の速度論的解析を行い、CYLDのより詳細な脱ユビキチン化メカニズムを明らかにする。得られた成果を国際的な学術誌に投稿する。
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