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2011 年度 実績報告書

Pin1プロテオミクスを用いた疾患特異的リン酸化タンパク質の網羅的探索

公募研究

研究領域翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻
研究課題/領域番号 23117526
研究機関横浜市立大学

研究代表者

梁 明秀  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (20363814)

キーワードシグナル伝達 / 癌 / プロテオーム / Pin1
研究概要

ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1は前立腺癌の再燃率の高さに相関して発現が増加しており、腫瘍形成や癌の形質変換の維持に重要な役割を演じている。しかしながら、前立腺癌におけるPin1と相互作用するエフェクター因子については同定されていなかった。我々はPin1を分子プローブとしたリン酸化プロテオミクス解析を実施し、前立腺癌における新しいPin1結合タンパクとしTFG(Trf fused gene)を同定した。TFGは種々のがんで認められる染色体の転座においてNRTK1、ALK、NR4A3といった癌関連遺伝子との融合が報告されている。TFGは前立腺癌特異的にPin1と結合し、Dunningラット前立腺癌細胞ではその悪性度にともなって、結合の度合いが増していた。前立腺癌細胞においてsiRNAによるTFG特異的な枯渇は細胞増殖を減少させ、癌形成を抑制し、細胞の増殖の低下と細胞老化の誘導が認められた。また、Pin1はサイトカイン刺激依存的なTFGによるNF-kaB経路の活性化を促進した。また、TFGはアンドロゲン非存在下でAndrogen receptor(AR)の転写活性を促進した。さらには前立腺癌組織検体を用いた解析により、TFGの発現量と前立腺術後のPSA再燃は正の相関を示した。これらの事実は、TFGは前立腺癌において、腫瘍形成への重要な役割を演じていることを支持する結果であるとともに、Pin1を分子プローブとしたリン酸化タンパク探索の有用性が示された。現在、癌幹細胞におけるPin1結合タンパク質について同様なアプローチにて検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Pin1を分子プローブとしたリン酸化プロテオミクスを用いて予後不良の前立腺癌のマーカーを新たに同定した。また、本手法の有用性について検証した。

今後の研究の推進方策

我々が独自に開発した癌幹細胞モデルを用いて、癌幹細胞の増殖や維持に重要なリン酸化シグナルについて、Pin1を分子プローブとして用いたリン酸化プロテオミクスを用いて同定する。また、我々の有するヒトキナーゼライブラリーを用いて、当該タンパク質のリン酸化を司るプロテインキナーゼを同定する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of DNA Binding of the Zinc Finger and Linkers for Domain Fusion on the Catalytic Activity of Sequence-Specific Chimeric Recombinases Determined by a Facile Fluorescent System2012

    • 著者名/発表者名
      Nomura W
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 51(7) ページ: 1510-1517

    • DOI

      10.1021/bi201878x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prolyl isomerase Pin1 regulates neuronal differentiation via β-catenin2012

    • 著者名/発表者名
      Nakamura K
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of phosphorylated proteins involved in the oncogenesis of prostate cancer via Pin1-proteomic analysis2011

    • 著者名/発表者名
      Endoh K
    • 雑誌名

      Prostate

      巻: 72(6) ページ: 626-637

    • DOI

      10.1002/pros.21466

    • 査読あり
  • [学会発表] ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1:前立腺癌の形成や維持に関与する新しいリン酸化後修飾因子2011

    • 著者名/発表者名
      梁明秀
    • 学会等名
      第27回前立腺シンポジウム
    • 発表場所
      東京コンファレンスセンター(東京)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-10
  • [学会発表] コムギ無細胞タンパク質合成系を用いたXenotropic murine leukemia virus-related virus (XMRV)プロテアーゼの解析2011

    • 著者名/発表者名
      松永智子
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会2011
    • 発表場所
      新潟市朱鷺メッセ2階(新潟)
    • 年月日
      2011-07-28
  • [図書] 別冊医学のあゆみ「次世代iPS医療」(梅澤明弘編)2011

    • 著者名/発表者名
      西真由子, 梁明秀
    • 総ページ数
      1270-1276
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
  • [備考]

    • URL

      http://www.yokohama.ac.jp

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公開日: 2013-06-26  

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