公募研究
プロテアソームは真核細胞に必須のタンパク質分解酵素複合体であり、その重要性は広く知られている。また、がんや老化は酸化ストレスとの深い関連についてこれまで知られている一方、我々のこれまでの研究からプロテアソームの機能異常が未知のシグナルを介して酸化ストレス応答を惹起させると同時に、プロテアソーム活性や局在の変化および核形態異常を引き起こす事が、がんや老化の病態の主要な要因のひとつとなっているのではないかと推測した。そこで、プロテアソームの動態(機能制御)と酸化ストレスとの間を結ぶ分子機構を明らかにし、がん・老化などの病態の理解に新たな視点を提供する事を目的とした。これまでの研究期間において作製したプロテアソーム関連遺伝子ノックダウン系統ショウジョウバエのいくつか(TXNL1およびPI31)をスターターとしてRNAi系統および過剰発現系統との交配を行ない、プロテアソーム機能制御に関与すると思われる新規因子の同定に成功した。現在その分子機構の詳細を明らかにするために、遺伝学的解析に加え、生化学解析および細胞生物学的解析などを行なっている。これまでプロテアソーム機能と直接関与が報告されていなかった経路とのクロストークの存在を示唆する結果を得ており、今後より重点的にこの分子機構の解明に焦点を当てて研究を進展させる事で新規性の高い結果が得られると考えている。また、スターターに用いた遺伝子について様々な器官におけるノックダウン系統の作製と解析から、加齢依存的な表現型の悪化や死亡率の増加など、老化とプロテアソームを結びつける現象も観察された事から、これら表現型と酸化ストレスとの関連についても検討を行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bilogy Open
巻: 2 ページ: 170-182
10.1242/bio.20123020