研究領域 | 活性酸素のシグナル伝達機能 |
研究課題/領域番号 |
23117708
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久本 直毅 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80283456)
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キーワード | C.エレガンス / MAPキナーゼ / ストレスセンサー |
研究概要 |
線虫C.elegansをモデルとしてJNKおよびp38型MAPキナーゼカスケードを活性化する上流因子、特に酸化ストレスセンサーを明らかにする研究を行っている。今年度は、線虫のp38型MAPキナーゼであるPMK-1 MAPキナーゼの上流因子を探索した。我々は以前、p38型のPMK-1MAPキナーゼカスケードの上流でSEK-1MAPKKが機能すること、さらにその上流ではMAPKKKのひとつであるKIN-18と、もうひとつのMAPKKKであるNSY-1と重複して機能することを見いだしていた。今回、遺伝学を用いたRNAiスクリーニングにより、KIN-18の上流で機能するセンサーの候補として新規因子ASSM-1を同定した。遺伝学的な解析から、ASSM-1はKIN-18と同一経路で機能することが示唆された。さらに、酵母ツーハイブリッド法による解析から、ASSM-1はKIN-18に結合することも見いだした。 一方、JNK型のKGB-1MAPキナーゼカスケードについては、RNAiによる網羅的なスクリーニングにより、HGF様の新規増殖因子SVH-1とその受容体SVH-2がその上流で機能することを見いだした。更に、KGB-1MAPキナーゼカスケードが重金属ストレスだけでなく切断を受けた神経軸索の再生も制御していること、またSVI1-1とSVH-2がその上流で特異的に機能することも見出した。 SVH-1は頭部感覚神経のひとつであるADLで特異的に発現しているのに対し、SVH-2は通常は神経での発現は見られないが、神経軸索の切断によりそれが誘導された。しかし、SVH-1およびSVH-2は重金属耐性には関与しなかった。以上の結果から、ストレス応答型MAPK経路は上流で複数のシグナルに分かれており、それにより機能を使い分けていると推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上流の解析は順調に進んでおり、同定された新規因子の解析も進んでいる。同定したもののうち、SVH-1およびSVH-2については酸化ストレスセンサーではなかったが、神経軸索再生という新たな機能の発見につなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
p38型MAPKカスケードについては、ASSM・1についてさらに解析を行う。JNK型MAPKカスケードについては、酸化ストレスセンサーの候補を引き続き探索・同定する。
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