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2011 年度 実績報告書

糸状菌の活性酸素生成酵素の制御因子に関する研究

公募研究

研究領域活性酸素のシグナル伝達機能
研究課題/領域番号 23117719
研究機関名古屋大学

研究代表者

竹本 大吾  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30456587)

キーワードエンドファイト / 活性酸素生成酵素 / 共生確立 / 細胞極性
研究概要

植物体内で共生的に生活している糸状菌や細菌などはエンドファイトと総称されている。共生糸状菌Epichloe festucaeは牧草、芝草の地上部組織の細胞間隙で伸長し、共生関係を保っている糸状菌エンドファイトである。これまでに、Epichloeエンドファイトの宿主植物との共生確立能を欠損する変異株を単離し、NoxAを欠損した変異株が感染によって宿主植物の矮化や枯死を引き起こすことを明らかとしている。そこで本研究では、NoxA、NoxAの相同遺伝子であるNoxB、およびこれまでに単離したNoxの制御因子NoxR、RacA、さらにNoxRと相互作用するタンパク質として単離したBemAおよびCdc24の糸状菌活性酸素生成における役割を調べている。
今年度は、これら活性酸素生成制御因子の培養時の菌糸生育、菌糸融合および分生子形成における機能を解析した。noxA、noxB、noxR、racAおよびbemA破壊株を富栄養の培地上で生育させたると、racA破壊株では菌糸分岐の増加などが観察されたが、他の変異株では野生株と同等の菌糸生育を示した。一方、貧栄養培地で生育した場合、いずれの変異株の菌糸も菌糸の異常な分岐と不規則なねじれが観察されたことから、菌糸の活性酸素生成は貧栄養時の菌糸の極性決定に必須であることが推察された。また野生株で観察される培地上での菌糸細胞の融合が、noxA、noxB、noxR、racAいずれの破壊株でも観察されなかった。さらに、野生株と比較してnoxA破壊株で分生子形成量が増加し、noxA/noxB破壊株でさらに増えていた。一方で、noxRおよびracA破壊株では分生子形成の増加は観察されなかった。これらの結果より、共生時の菌糸生育、貧栄養時の極性伸張、菌糸融合および分生子形成制御において、異なる組み合わせのNoxと制御因子が機能していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、noxA、noxB,noxR,racAおよびbemA破壊株の培地上における生育を比較解析し、貧栄養条件下における極性生育、分生子形成および菌糸融合の形成などの制御に異なる組み合わせのNoxとその制御因子が機能していることを示した。これまでの研究では制御因子であるNoxRはNoxAおよびNoxBの活性化に常に必須であるとされていた考えを覆す新たな結果である。この様に、今年度は、今後のNoxとその制御因子の関わりをさらに解析する上で重要な知見が得られたことより、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今年度は、研究計画に基づき以下の研究を遂行する予定である。1)レドックス感受性GFP導入による共生糸状菌の活性酸素生成能の検出これまで植物内部に共生する糸状菌による活性酸素生成を検出するのは極めて困難であった。そこで、近年開発されたレドックス感受性GFP(RoGFP)を用いて植物内部に生育している共生菌による活性酸素生成の検出を試みる。2)動物細胞での糸状菌Noxおよび制御因子の発現による活性酸素生成の検出糸状菌Noxの活性化における制御因子NoxR、RacAおよび候補因子BemA、Cdc24の役割を明らかにするため、動物培養細胞を用いた活性酸素生成検出系の確立を目指す。3)Cdc24のRacAに対するGEF (Guanine nucleotide exchange factor)活性の測定Cdc24は、低分子量Gタンパク質の活性化因子に特徴的なモチーフを持つ。そこでCdc24が、RacAに結合したGDPからGTPへの変換を促す活性があるか否かを調査する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fungal endophyte of grasses2012

    • 著者名/発表者名
      田中愛子
    • 雑誌名

      Current opinion in Plant Biology

      巻: (印刷中)(in press)

    • DOI

      10.1016/j.pbi.2012.03.007

    • 査読あり
  • [学会発表] 牧草共生糸状菌Epichloe festucaeの低分子量Gタンパク質Cdc42およびRacAの機能分化に関する研究2011

    • 著者名/発表者名
      榧野友香
    • 学会等名
      第11回糸状菌分子生物学コンファレンス
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2011-11-16
  • [学会発表] 牧草共生糸状菌Epichloe festucaeの生理活性物質生成および共生確立におけるヘテロ三量体Gタンパク質の関与2011

    • 著者名/発表者名
      勝又美穂
    • 学会等名
      平成24年度日本植物病理学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] 宿主植物との共生確立に必要なEpichloeエンドファイトの新規核タンパク質遺伝子の単離2011

    • 著者名/発表者名
      尾崎よしの
    • 学会等名
      平成24年度日本植物病理学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] 牧草共生菌Epichloe festucaeの活性酸素生成酵素およびその制御因子の菌糸融合および分生子形成における役割2011

    • 著者名/発表者名
      榧野友香
    • 学会等名
      平成24年度日本植物病理学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-03-29
  • [学会発表] Comparative analysis of small G proteins Cdc42 and RacA from a grass endophytic fungus Epichloe festucae2011

    • 著者名/発表者名
      榧野友香
    • 学会等名
      第2回日韓合同シンポジウム
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2011-03-27
  • [備考]

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~byori/index.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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