研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
23118506
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡辺 すみ子 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60240735)
|
キーワード | 網膜 / 神経 / グリア / トランスジェニックマウス / エピジェネティクス / メチル化 |
研究概要 |
網膜における神経、グリア分化の分岐点での初期マーカーの同定をめざして、我々が過去に同定したCD44を用いて、細胞の単離を試みたがCD44の発現が不安定であったため再現性のよい結果を得られなかった。そのため、Hesの発現を可視化し、これを用いることとし、一過性発現の系で、Hes1,Hes5のプロモーターEGFPの発生中網膜での発現パターンの評価を行い、Hes1を利用する事とした。Hes1プロモーターEGFPのトランスジェニックマウスを導入し発現の評価をおこない、目的にかなう事が明らかになったため、マイクロアレイの解析に利用する予定である。網膜プロジェニターのメチル化について、様々な遺伝子のヒストンメチル化を検討し、発生にともなう動きが確認できた。この中でも、H3K27のメチル化を行なうEzh2の強い関わりが示唆されたため、このコンディショナルノックアウトマウスの網膜発生を解析し、網膜発生に重要な働きをすることが示唆された。一方過去のDNAmicroarrayの解析によって作成したデータベースを解析し、そこから抽出した遺伝子についてshRNAを多数作成し機能のスクリーニングを行なった。少なくとも4つの遺伝子について、神経・グリア分化の制御に関わることが示唆され、さらに詳細な検討を行っている。また神経、グリアの分化の制御の機構としてmicroRNAの役割を想定し、その発現パターンを、網膜のサブセットを用いて解析している。データベースを作成する一方、microRNAの効率のよい、ノックダウン、過剰発現の系を構築したため、次年度で特定のmicroRNAの役割について検討することが可能であると期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メチル化について順調なデータがで、さらにmicroRNAについても大きな動きが観察されることが明らかになった。一方で当初利用を期待していたCD44について目的にあわないことがわかり、計画を一部変更することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画どうり、遺伝子、メチル化などの網膜における神経・グリア分化過程における役割を検討していく予定である。
|