前年度に報告したように、本研究課題において研究目的としたホジキンリンパ腫におけるリプログラミングを引き起こす主たる原因となるEBVがコードするmiRNAは同定できなかった。しかし、EBVがコードするmiRNAの中に、EBVが引き起こすリンパ増殖性疾患を優位に促進するmiRNAが存在することを明らかにすることができた。これらのEBVがコードするmiRNAは、試験管内では腫瘍増殖を抑制するにもかかわらず、マウス生体内においては、腫瘍形成を促進するという、特徴的な性質を示すことが明らかになった。また、分泌されて、腫瘍をとりまく免疫細胞に取り込まれ、そのサイトカインプロファイルを変化させ、増殖を促すことが明らかになった。今後は、細胞運命制御とは関わりが薄くなるが、この腫瘍化を促進するEBVがコードするmiRNAがいかに周辺の細胞に影響を及ぼして腫瘍化を促進するのかを詳細に検討すると共に、治療標的としての可能性を探りたい。
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