研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
23118513
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長岡 仁 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (20270647)
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キーワード | 免疫 / 遺伝子 / 感染症 / ワクチン / DNA |
研究概要 |
本研究は、免疫応答においてIgM陽性のナイーブBリンパ球が活性化され胚中心細胞を経てクラススイッチした抗親和型抗体を産生する形質細胞及びメモリー細胞へ分化する際の終末分化のメカニズムを解明する事を目的とする。Bリンパ球移入解析系の構築に資するため、活性化Bリンパ球特異的に誘導され抗体遺伝子のクラススイッチ組み換えと体細胞突然変異に必須の酵素AIDの遺伝子Aicdaのコード領域にcreを導入した190kbのマウスゲノムBACクローンを導入されたトランスジェニックマウスで、Creレポーターと内因性のAicdaの発現パターンを検討した。その結果、1)胚中心Bリンパ球では、AID発現及びCre発現が強力に誘導され、loxPサイトを持つCreレポーターが不可逆的に組み換えを起こし効率よく標識される、また、腸管の形質細胞ではほぼ100%近く標識される事。2)約10%の未熟Bリンパ球においてAIDが胚中心細胞の1/10~1/50のレベルのAID mRNAを発現する事。3)末梢のTリンパ球のうち、メモリータイプのCD4陽性Tリンパ球の一部にAIDを発現する細胞が居る事。4)そのTリンパ球はインターロイキン10とインターフェロン-γを産生する特殊なサブセットのTリンパ球である事。6)AIDを発現したTリンパ球の比率は若年マウスにおいては1-2パーセントであるがマウスの加齢とともに上昇し、最高25パーセントにも達する事。7)移入実験により、腸間膜根リンパ節でのCD4陽性Tリンパ球分画でのAID発現履歴が効率に認められる事。を明らかにした。これら知見は、今後のBリンパ球移入実験系構築においての実験結果評価の基盤になる情報を提供するのみならず、抗体遺伝子を発現しないTリンパ球でのAID発現の意義やそれに至る刺激、またAicda遺伝子の制御についての新たな研究の必要性を提起する重要な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年4月に飼育動物の動物施設移動に伴い一旦動物コロニーを再小規模に縮小し検疫のため1ヶ月ほど隔離を行った後にさらに再交配して数の回復をする必要が有った。
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今後の研究の推進方策 |
細胞移入による免疫実験を行っている。問題としては免疫応答がより強力である方が2次応答の解析に有利なため、細胞移入に加えて腎皮膜下へのリンパ組織の移植手術を行う事で解析効率を上げる予定である。
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