公募研究
様々な細胞運命の決定や分化の進行は、転写因子によるネットワークを重要な分子基盤としている。我々は胸腺DP(CD4/8 double positive)細胞からヘルパー系CD4SP(CD4 single positive)細胞、またはキラー系CD8SP(CD8 single positive)細胞を選択的に分化誘導する培養系を確立し、これを用いて転写因子Runx3がCD8SP細胞分化を司どるマスターレギュレーターであるとの発見の一翼を担ってきた。一方、CD4SP細胞分化のマスターレギュレーターはTh-POKである。Runx3とTh-POKは、互いを負に制御することによって、共通の前駆細胞から2つの細胞系列の分岐を可能としている。しかし、分化シグナルを受容した結果、Runx3/Th-POKのいずれが優位に働くのか、転写因子ネットワークのダイナミズムがどのように制御されるのか、未だ完全に理解されるには至っていない。上述の培養系は、TCRシグナルという分化の「トリガー」から、可逆的な中間段階を経て「不可逆的分化」が成立するまでの動的なプロセスを観察することを可能にした。我々はこれを用いて、「Runx3, Th-POKという二つの細胞系列のマスターレギュレーターは、それ自身がG1-S期進行を相反的に制御する活性を有するとともに、G1-S期制御に依存してそれぞれの系列決定を行う」ことを見いだした。細胞周期制御が分化進行に随伴して起こるという見方はしばしば行われるが、本研究では、細胞周期制御が転写因子ネットワークと関連して細胞運命分岐の要因をなすというモデルを提唱するに至った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Shock
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