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生体分子の局所的温度制御を目指して、カーボンナノチューブ(CNT)へのレーザー光照射を用いた温度制御システムを開発し、アクトミオシンの運動計測を行うことで、ATP駆動型分子モーターの分子メカニズムを探った。
１）カーボンナノチューブ(CNT)を用いた温度制御システム
光学顕微鏡下で、CNTへ赤レーザー(633nm)を～3mW集光することによって、CNTとその局所近傍のみを加熱する実験系を構築した。誘導された温度上昇は、蛍光色素の強度または後述の滑り速度変化から、直径170nmのCNTで約10℃、直径60nmのCNTで約2℃と見積もられた。
２）CNT1本上でのアクトミオシン運動の活性化
昨年度成功したCNT上でのアクトミオシンの運動観察と、レーザー光照射による速度変化誘導を用いて、CNT上における運動を詳細に解析した。その結果、レーザー照射時の速度分布は、照射位置からの距離によって有意に減衰することを発見した。この速度分布を温度分布として換算し、熱伝導を有限要素法によって解析したところ、上昇温度はCNT長軸方向3700nm、短軸方向250nmでそれぞれ半減する温度分布が示唆され、CNTの熱伝導率が1600 W/(m.K)と算出された。CNTの水中での熱伝導計測、特に生体分子を用いた計測は初めてであり、今後さらに局所的な計測を進めることで、分子モーターを含めた様々な生体分子の１分子活性制御への発展が期待される。
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