研究領域 | 水を主役としたATPエネルギー変換 |
研究課題/領域番号 |
23118705
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村田 武士 千葉大学, 大学院・理学研究科, 特任准教授 (80415322)
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キーワード | 分子モーター / 酵素反応 / V-ATPase / 計算機シミュレーション |
研究概要 |
本研究では得られたV1-ATPaseの結晶構造と機能を繋ぐ計算機シミュレーションを用いた解析や重要残基変異体の構造機能解析を行い、V1-ATPaseのATP加水分解による機能発現機構の解明を目的とする。当初研究計画に従って、下記の研究結果を得た。 分子動力学/自由エネルギー計算によるATP結合部位への基質結合親和性の算出 V1-ATPaseの3箇所のATP結合部位は、ヌクレオチドに対してそれぞれ違う親和性を持つことが実験的に示されているが、それぞれの結合親和性がどの箇所に対応するかは実証されていない。そこでAMP-PNPを結合している2つのAサブユニット単体について、エネルギー計算によるATP結合部位への基質結合親和性を算出した。 分子動力学シミュレーションによる触媒サブユニットの揺らぎと水和の解析 V1-ATPaseの回転軸にトルクを掛けたTargeted MDを用いた分子動力学シミュレーションを短時間(1 nS)行い、回転に伴ったA_3B_3複合体の構造変化について調べた。 機能発現に重要な残基の変異酵素の作製と機能構造解析 回転軸のDサブユニット構造は、これまでに報告されている類似タンパク質構造にはみられないβヘアピン領域が存在しており、A_3B_3複合体と相互作用していた。そこで、このβヘアピン領域を欠いた変異Dタンパク質を作製し、A_3B_3複合体との結合能やATPase活性への影響を調べた。その結果、この領域はV1-ATPaseの活性調節に関与することが明らかになった。また、FサブユニットのC末ヘリックスもA_3B_3複合体と相互作用していたので、この部分の欠損変異体を作製し、同様に性質を調べた。その結果、この領域もV1-ATPaseの活性に影響を与えることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って進めることができたため、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従って研究を継続する。そして、計算機シミュレーションを用いた解析と重要残基変異体の構造機能解析を行い、V1-ATPaseのATP加水分解による機能発現機構について理解する。
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