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2011 年度 実績報告書

水和状態の変化に伴う鞭毛外腕ダイニンモーターの活性変調

公募研究

研究領域水を主役としたATPエネルギー変換
研究課題/領域番号 23118706
研究機関東京大学

研究代表者

八木 俊樹  東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40292833)

キーワード鞭毛 / ダイニン / ATP / 水和
研究概要

真核生物の鞭毛運動はダイニンによる微小管の滑り運動が時間的・空間的に制御されて生じている。その制御機構には鞭毛の中心構造(中心小管とスポーク)が関与していることが示唆されているが、その詳細は分かっていない。我々はこれまでに、この構造を欠失して非運動性となった変異株がアルコール存在下や高圧環境下に屈曲運動を開始することを示し、ダイニンのモーター活性が軸糸の水和状態に応じて変化することを示唆した。本年度は以下のような実験を行い、軸糸の水和状態変化がダイニンにどのような影響を与えているのかを調べた。
・圧力に対するクラミドモナスの運動性変化の解析
高圧下における野生株および変異株の運動性を調べたところ、この運動には大きく分けて2種類ある鞭毛ダイニン(内腕ダイニンと外腕ダイニン)のうち外腕ダイニンが必須であることがわかった。
・水和状態の変化に伴う外腕ダイニンの活性変化の解析
外腕ダイニンの活性化は、ダイニン自身の水和状態変化によって生じる可能性と軸糸タンパク質を通じて間接的に生じる可能性が考えられた。前者の可能性を検討するために、溶液の水和状態を変化させながら外腕ダイニンの微小管滑り運動活性を調べたところ、この屈曲運動現象が観察される条件ではダイニンのモーター活性がむしろ低下することがわかった。この結果は、外腕ダイニンの活性化はダイニンそのものの変化による直接的なものではなく、軸糸の構造変化による間接的なものである可能性を示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、軸糸の水和状態による外腕ダイニンの活性変調がダイニン自身の水和状態変化による直接的なものか、軸糸タンパク質を通じた間接的なものかを明らかにすることである。これまでの研究から、ダイニンのモーター活性変化が間接的に生じている可能性が高いことが示唆された。目的の達成に近づきつつあると言える。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、軸糸のX線繊維回折により、水和状態に伴う軸糸の構造変化を直接とらえる実験を計画している。
この研究により、鞭毛運動調節機構の一端が明らかになるものと期待している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cilia dysmotility and left-right axis defects due to mutations in axonemal dynein assembly factor PF22 (DNAAF3) in primary ciliary dyskinesia2012

    • 著者名/発表者名
      Mitchison HM, Schmidts M, Loges NT, Freshour J, Dritsoula A, Hirst RA, O'Callaghan C, Blau H, Dabbagh MA, Olbrich H, Beales PL, Yagi T, Mussaffi H, Chung EMK, Omran H, Mitchell DR
    • 雑誌名

      Nature Genetics

      巻: 44 ページ: 381-389

    • DOI

      doi:10.1038/ng.1106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A unified taxonomy for ciliary dyneins2011

    • 著者名/発表者名
      Hom EFY, Witman GB, Harris EH, Dutcher SK, Kamiya R., Mitchell DR, Pazour GJ, Porter ME, Sale WS, Wirchell M., Yagi T., King SM
    • 雑誌名

      Cytoskeleteon

      巻: 68 ページ: 555-565

    • DOI

      doi:10.1002/cm.20533

    • 査読あり
  • [学会発表] Communication between Flagellar Outer and Inner Dynein Arms2011

    • 著者名/発表者名
      Oda T., Yagi T., Kikkawa M.
    • 学会等名
      ASCB annual meeting
    • 発表場所
      Denver, Cololado, USA
    • 年月日
      2011-12-05

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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