研究領域 | 水を主役としたATPエネルギー変換 |
研究課題/領域番号 |
23118721
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
上田 太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 部門付 (90356551)
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キーワード | アクチンフィラメント / ミオシン / 協同的構造変化 / 運動 |
研究概要 |
1.アクチンフィラメントの協同的構造変化の方向性の解明 本研究開始以前に、B端キャッピングタンパク質、アクトS1融合タンパク質、およびピレン標識アクチンをファロイジン存在下で順次重合させることでアクトS1融合タンパク質とピレンアクチンの位置関係を規定したブロック共重合体の作製に成功していた。さらにそうしたブロック共重合体において、アクトS1融合タンパク質がピレンアクチンのB端側にあるときはATP添加によってピレン蛍光が増大するが、アクトS1融合タンパク質がピレンアクチンのP端側にあるときは蛍光強度は変化しないことから、構造変化がP端方向に一方向的に伝播するという予備的な成果を得ていた。しかし前者においてもピレン蛍光の変化幅が小さく、説得力に欠けるきらいがあった。そこで電顕観察を行ったところ、ピレンアクチンのみが重合したホモ重合体が大量に存在することが判明し、これがATP添加に反応しないピレン蛍光の原因であろうと推察された。そこで、ブロック共重合体とピレンアクチンホモ重合体を分離する方法の開発に着手した。 2.アクチンの疎水的ミオシン結合部位はミオシンの運動に必要か? アクトS1融合タンパク質のホモ重合体はHMM面上で運動できないが、微量のアクチンを混在させると運動能をもったフィラメントが見られるようになることを見出していた。このことは、アクトS1融合タンパク質と正常アクチンは共重合しにくく、共存していても互いに別々のフィラメントを形成しやすいことを示唆する。そこで、アクトS1融合タンパク質だけではなく、他のアクチン融合タンパク質や変異アクチンと正常アクチンを共重合させてみたところ、多くの組み合わせで別々のフィラメントを形成する傾向が認められた。このことは、モノマーアクチンには様々な構造があり、異なる構造のアクチンモノマー同士は共重合しにくいことを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、現在の実験系では蛍光強度の変化幅が小さいことが問題で、これは、アクトS1融合タンパク質のポリマーにピレンアクチンモノマーを加えてブロック共重合体を作製する際、ピレンアクチンのホモ重合体が大量に生成してしまうためであることが判明している。これは、ピレンアクチンがアクトS1融合タンパク質と共重合しにくいためであると考えられ、このこと自体興味深い現象ではあるが、本測定においては深刻な問題であり、解決が急がれる。
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今後の研究の推進方策 |
ピレン蛍光強度の変化幅を大きくするため、ブロック共重合体とピレンアクチンホモ重合体を分離する必要がある。そのため、アクトS1融合タンパク質にはFLAGタグが付いていること利用し、ガラスに塗布した抗FLAG抗体を使った分離を試みたが、おもわしい結果が得られなかった。そこで、イオン交換樹脂を用いて、電荷の差異に基づく分離ができないか検討する。
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