研究領域 | 大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析 |
研究課題/領域番号 |
23119506
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
下嶋 美恵 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 助教 (90401562)
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キーワード | 環境ストレス / 環境適応 |
研究概要 |
平成23年度は、下記項目1については変異体の単離に重点をおいて進めた結果、計画通りの進捗が得られた。また、項目2については本研究費により新たに導入した凍結ストレス解析用の装置を用いて、これまでにあまり報告のない凍結耐性のメカニズムが存在することを明らかにした。 1. リン欠乏時における貯蔵脂質の蓄積に関わるシロイヌナズナ変異体の単離と解析 (1) リン欠乏時の膜脂質転換に関わる変異体の作成とその貯蔵脂質蓄積の解析 三重変異体pah1pah2npc5, pah1pah2tgd1の作成を行い、リン欠乏時の膜脂質転換と貯蔵脂質蓄積の関係をより詳細に解析することにより、リン欠乏時の葉における貯蔵脂質蓄積の生理的意義を明らかにする。平成23年度は、pah1pah2とtgd1変異体の掛け合わせを行い、スクリーニングの結果、pah1pah2tgd1変異体の単離に成功した。 (2) リン欠乏時に貯蔵脂質を蓄積しないシロイヌナズナ変異体の単離と解析 複数の変異体の脂質解析を行ったところ、そのうちの一つである葉緑体局在と予測されるcox19-like proteinのノックアウト変異体について、貯蔵脂質含量は微量しか変化しないが、貯蔵脂質の脂肪酸組成に変化がみられることがわかった。 1.リン欠乏時の膜脂質生合成変異体pahlpah2における凍結耐性の解析 上記変異体pah1pah2における凍結耐性を詳細に調べたところ、この変異体の凍結耐性は凍結時の膜の安定性の上昇によるものではなく、凍結後の細胞の損傷からの回復に寄与していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
凍結耐性を調べるための装置の入手と実験手法の確立に時間がかかることが懸念されていたが、当初考えていたよりも早くに再現性のある信頼できるシステムを立ち上げることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は引き続き、平成23年度で得られた変異体を用いて、リン欠乏時の表現型を詳細に解析する。変異体pah1pah2における凍結耐性については、凍結後の細胞修復に焦点をおいて解析を進める予定である。現在のところ、研究計画の変更および研究遂行上の問題点はないと考えている。
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