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2011 年度 実績報告書

NIMA関連キナーゼを介したストレス応答機構の解析

公募研究

研究領域大地環境変動に対する植物の生存・成長突破力の分子的統合解析
研究課題/領域番号 23119513
研究機関岡山大学

研究代表者

本瀬 宏康  岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70342863)

キーワードNimA関連キナーゼ / ストレス応答 / 遺伝子発現 / 形態形成 / チューブリン / 細胞伸長 / タンパク質間相互作用 / シロイヌナズナ
研究概要

植物は、生育環境の変化に応答して、自らの成長様式や形態を柔軟に変えて適応する高い能力を持つ。本研究では、植物の発生と環境を協調させる因子として、Never in mitosisA (NimA)関連キナーゼ(NEK)に着目し、その環境応答と形態形成における機能の解明を目的とした。
遺伝学的解析が容易なシロイヌナズナの利点を生かし、NEKファミリー(NEK1からNEK7)のストレス応答における機能解析を行った。Nek6/ibo1変異体において発現が変動する遺伝子を解析したところ、野生株と比較してストレス応答性遺伝子の発現が顕著に変動していた。また、NEKファミリーの変異体のアブシジン酸応答を解析した結果、アブシジン酸感受性やストレス応答が変化していることが示された。以上より、NEKファミリーがストレス応答や遺伝子発現の制御に関与することが示唆された。
NEKファミリーの発現パターンを解析したところ、組織特異的な発現を示し、幾つかにグループ分けできることがわかった。また、NEKファミリーの変異体の形態観察を行ったところ、葉や根など多様な形態形成を制御することがわかった。
NEKの分子機能を明らかにするため、NEKファミリーと相互作用するタンパク質を酵母2ハイブリッド法と免役沈降法により同定した。NEK6はNEK4,5と相互作用し、チューブリンのリン酸化を介して細胞伸長を制御することがわかった(Motose et al.2011)。また、NEK6は様々なタンパク質と相互作用して働くことが示唆された。
動物や菌類のNEKは主に細胞分裂を制御するが、本研究から、植物NEKの機能が細胞伸長や環境応答へ多様化してきたと考えられる。今後もNEKファミリーの機能解析を進め、植物が環境変化に敏感に応答し、発生過程を変化させる柔軟性の分子機構に迫る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究から、NEKファミリーがストレス応答と遺伝子発現に関与することを示すことができた。Nek6/ibo1変異体において発現が変動する遺伝子をマーカーとして用いることで、NEKを介した情報伝達経路と遺伝子発現制御機構を明らかにできることが期待される。また、NEKの発現パターンと変異体の表現型を組み合わせ、環境応答と形態形成におけるNEKの機能の一端を示すことができた。今後もNEKの機能解析を行い、環境変化と成長を協調させるしくみを明らかにしたい。

今後の研究の推進方策

今後は、NEKファミリーがどのようにストレス応答と遺伝子発現を制御しているかについて、その分子機構を明らかにしたい。NEKファミリーの変異体において発現が変動する遺伝子を手がかりとして研究を進める。また、NEKの発現パターンと変異体の表現型をより詳細に解析し、環境応答と形態形成を協調させる分子機構を明らかにしたい。今後も研究環境の改善と研究内容の更なるレベルアップを目指し、研究成果を論文や学会、ホームページ等において公表していきたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A chemical biology approach reveals an opposite action between thermospermine and auxin in xylem development in Arabidopsis thaliana2012

    • 著者名/発表者名
      K. Yoshimoto
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiology

      巻: 53 ページ: 635-645

    • DOI

      doi: 10.1093/pcp/pcs017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NIMA-related kinases 6,4, and 5 interact with each other to regulate microtubule organization during epidermal cell expansion in Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, H., Hatnada, T., Yoshimoto, K., Murata, T., Hasebe, M., Watanabe, Y., Hashimoto, T., Sakai, T., Takahashi, T.
    • 雑誌名

      Plant Journal

      巻: 67 ページ: 993-1005

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1365-313X.2011.04652.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression and genome-wide analysis of the xylogen-type gene family2011

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, Y., Motose, H., Iwamoto, K., Fukuda, H.
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiology

      巻: 52 ページ: 1095-1106

    • DOI

      doi:10.1093/pcp/pcr060

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナのNimA関連キナーゼファミリーは細胞伸長とストレス応答を制御する2012

    • 著者名/発表者名
      本瀬宏康、池田龍也、高橋裕一郎、酒井達也、高橋卓
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] NIMA-related kinases regulate development and stress response in Arabidopsis2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, H., Ikeda, T., Sakai, T., Takahashi T.
    • 学会等名
      International Symposium "Strategies of Plants against Global Environmental Change"
    • 発表場所
      Kurashiki, Japan
    • 年月日
      20111208-20111210
  • [学会発表] NIMA-related kinases redundantly regulate directional cell expansion in Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, H., Yoshimoto, K., Takahashi, Y., Sakai, T., Takahashi T.
    • 学会等名
      22nd International Conference on Arabidopsis Research
    • 発表場所
      Madison, USA
    • 年月日
      20110622-20110625
  • [備考]

    • URL

      http://www15.atwiki.jp/motosehiroyasu/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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