本研究では、高倍率・広領域・高精細な透過電子顕微鏡(TEM)像の超微細形態学と計算機による情報学的な解析を組み合わせることにより、環境ストレスに応答して変化する細胞小器官の分化や形態の変化を広域計測・定量し、数理モデルを構築しながら、植物の細胞から器官レベルでの環境ストレス応答の理解を目的として、研究を行った。 シロイヌナズナの芽生え根端を用いて、根端全域に渡り超微細構造が保持されるよう高圧凍結技法および超薄切片作製法を改良した。また、網羅性とスループットの向上を目指し、イメージング情報解析を専門とする研究者との共同研究を進めた。これにより数万枚を超えるTEM像の精密な合成、広域画像からのオルガネラ自動認識を可能とした。さらに、根端広域データのデジタル化「電顕アトラス」の開発に取り組んだ。広域TEM画像をGoogle Map APIにより変換し、データベース化するために必用なアプリケーションの開発および実装を行い、広域TEM像上の細胞小器官にアノテーションを加え細胞や組織ごとに分布定量化するための解析基盤「電顕アトラス」を整備した。塩ストレスを例として環境ストレスに対するオルガネラレベルの応答を電顕アトラスをつかって解析した。塩ストレスを与えたシロイヌナズナ根端について電顕アトラスを用いて塩ストレス下でのオルガネラの変化を精密に観察した。一部の細胞域で液胞の変形等が観られ、オルガネラスケールでの環境ストレス応答の基礎的データを得た。
|