研究実績の概要 |
頭蓋内脳表電極留置を用いて、視覚刺激の認知課題により誘発される皮質電位(認知ECoG)計測を行った。難治性てんかん40症例に頭蓋内電極を埋め込み、ECoG,計測を行った。視覚刺激はストライプ、単語、図形、顔認知を用いた。SPM8を用いて個人MRI脳を標準化し、その変換関数を用いて個人頭部CT(電極)に同様の座標変換を行った。このECoG標準化により高密度電極分布表示し認知課題別のhighγ帯域活動 (HGA)のダイナミクステンプレートを作成した。ストライプでは後頭極付近のみ、顔認知では側頭葉底部を広く、かつ外側にまでHGAが広がった。文字読みでは後頭極-側頭葉内側部へのHGAの広がりを認めた。左右に電極留置した患者では顔認知では右底部、文字認知では左底部が有意なHGAを認めた。標準脳上側頭葉底部の電極を用いた視覚課題クラス分けは、顔・文字、図形(chance rate 33.3%)では90%以上の正答率であった。MRI(fMRI)とECoGの電気生理現象を比較した。標準脳において言語課題 fMRIの有意なBlood Oxygenation Level Dependent (BOLD)上昇のあるECoG電極を選択して、HGAとBOLDを比較した。両者間には正の相関(R=0.57)を認め、前頭葉と側頭葉ECoG電極間ではHGAのピーク値は違いはなかった。前頭葉ではHGAが側頭葉(600ms以内)に比して1000-1500msと有意に長く時間現れていた。この違いはfMRI解析上で前頭葉活動が側頭葉に比して活動が強い、優位性を示唆する所見であった。fMRIによるBOLD信号の脳機能解析への応用は、実際の電気的活動のダイナミクスを考慮することが重要かつ、さらに正確な脳信号解読につながると期待できる。
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