研究領域 | 学際的研究による顔認知メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
23119702
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉浦 元亮 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (60396546)
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キーワード | 自己認知 / 顔認知 / 視線 / 社会認知 / 機能的MRI |
研究概要 |
他者の視線移動の知覚処理には身体運動処理と社会情報処理のレベルが存在するが、その処理領域については解明されていない。自己顔視線手がかり課題は、自己顔による標的検出抑制と視線手がかりによる検出促進を指標に、身体運動レベルと社会情報レベルの視線移動処理過程研究を可能にする。本研究では機能的MRIを用いてこれらの処理神経基盤を同定し、領域間の情報の流れを解明するとともに、標的検出抑制をもたらす自己顔の認知的特徴・処理過程について、認知科学・臨床的な検討を行う。その成果は顔認知の動的社会情報処理の知見に重要なアップデートをもたらすと期待される。 平成23年度は、自己顔視線手がかり課題を機能的MRI実験に実装するための課題改良と装置の準備を行った。実験に静止画を用いるとその時の被験者の顔の状態(表情等)と微妙に異なるため、視線変化前から身体運動レベルでの干渉が起きている可能性がある。また、標的提示位置の最適化も課題である。2つの問題を解決するために、提示する自己顔を被験者の疑似鏡像とし、標的を鏡と被験者の中間の距離で自己鏡像も標的を見るように位置を調節した。この目的で、MRIスキャナーの内部の被験者に疑似鏡像を提示する現有するシステムに、2つの位置調整可能なLEDを用いた光標的提示装置を導入し、その設定・調節と課題最適化のための予備行動実験を行った。また、課題・装置の最適化のために、標的検出抑制をもたらす自己顔の認知的特徴・処理過程について、認知科学・臨床的な検討を行い、どのような因子が抑制をもたらすのか検討した。その結果、インターフェースや様々な文脈が影響を及ぼすことが明らかとなり、その統制手段について、平成24年度の機能的MRI実験に向けて検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に予定していた自己顔視線手がかり課題を機能的MRI実験に実装するための課題改良と装置の準備、及び課題・装置の最適化のために、標的検出抑制をもたらす自己顔の認知的特徴・処理過程について、認知科学・臨床的な検討がほぼ予定通り完了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、自己顔視線手がかり課題を機能的MRI実験に実装するための装置を完成させ、課題制御プログラムを作成する。これを用いて30名程度の健常大学生被験者を対象に機能的MRIの実験を行う。脳活動データを解析し、成果の発表を行う。
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