本研究は,幾何学的形態測定学の枠組みに基づき,(1)顔形状の感性に関する様々な指標(平均性、対称性、幼児図式、表情など)の再定義を行い,(2) 顔に対する感性評価モデルの構築を行い,(3) 薄板スプライン法による2次元・3次元モーフィングアプリケーションなどの開発を行うことを目標としている.平成24年度は,目標(1)のうち3次元顔形状データを用いて表情の特徴および,表情の左右対称性の検討を行う手法の構築および実証的な検討をさらに重ね,これらの成果をIEICE Trans. on Information Systems 誌および国際会議(CogSci2012)で公表した.また幼児図式についても従来の定性的な記述ではなく,多変量解析手法を用いて定量的に幼児らしさを定義し,実験的な検討を行う手法を確立し,その成果について国際会議(43rd NIPS International Symposium)にて発表した.また表情の時系列変化の拡張主成分分析による解析手法を試み,表情を構成する動的な要素の抽出を行い,その成果についてシンポジウム等(ICS2-8)などで公表した.以上の試みを通して(2)の目標である感性評価モデル構築に向けた方法論の確立ができたと言える.また3次元顔形状や動的表情の視覚化を行うために,平成23年度に開発した,薄板スプライン法による2次元・3次元モーフィングアプリケーションの改良を行った.
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