研究領域 | 学際的研究による顔認知メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
23119727
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
北田 亮 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (50526027)
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キーワード | 顔 / 認知科学 / 神経科学 / 触覚 |
研究概要 |
本研究課題では、心理物理学的手法と機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を駆使して、触覚による表情模倣に関わる心理物理的特性を明らかにし、表情模倣に関わる神経基盤の多感覚性と可塑性について明らかにしようとするものである。本目的を達成するために今年度は主に3つの活動を行った。 1.視覚障害者による顔表情認識に関わる脳内表象の研究 2009年度から継続している視覚障害者の顔表情の認識に関する実験成果を最終的な研究成果としてまとめ、日本心理学会およびInternational Multisensory Research Forumで発表した。さらに追加実験および解析を行い、学会発表や科学雑誌の査読の過程で指摘された問題点を解決した。現在、Cerebral Cortex誌において本論文は査読中である。またこれらの研究から得られた脳機能イメージングにおける実験方法論を心理学研究法(分担執筆)に概説した。 2.顔模型および統制物体の開発 開眼した状態で感情を表出した顔模型と統制条件に使用する手・急須・車の模型の開発を行った。最適なモデル造形条件から表情を表出するモデルの選定および訓練までを行い、本年度内にほとんどの模型の製造を完了した。これにより来年度から本研究計画の実験に着手する。 3.素材特徴に関わる心理物理学的研究 本研究課題では実験刺激として主にプラスチック製の模型を用いているが、ヒトの肌の情報が物体の認識およびそれに伴う情動にどのように寄与するのかは不明である。その予備的な検討として素材特徴の弁別に関する心理物理学研究を行い、その成果をPerception誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
顔模型および統制刺激の開発に予想以上に時間がかかり、これらの刺激を必要とする実験の実施が遅れている。しかし本研究に最適な刺激を製作できなくては得られた研究成果の解釈も難しくなるため、やむを得ないことと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
時間はかかったが刺激の製造がほぼ一段落したことで、計画していた実験の実施に取り掛かる。表情模倣に関連する心理物理学実験およびfMRI実験の準備を行う予定である。初めに予備的な心理物理学実験を晴眼者で行い、その結果に応じて本実験を開始する。晴眼者で得られた結果がおおむね良好であれば、前回の実験に参加した視覚障害者の方を中心に幅広く集める予定である。
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