研究実績の概要 |
生体内で蛍光トレーサー・コレラトキシンAlexa555を用いて、線維連絡を可視化する手法を開発し、これを用いて、顔に特異的に反応する細胞に投射するスポットから記録する事を可能にした (Ichinohe et al.2012, Scientific Reports). 本手法を用いて、顔に反応するTE野の前の領野であるTEO野の細胞は、目や紙などのの、顔のパーツやフィーチャーに反応する事を見いだした。また、顔に反応する領野へ投射する部位に、ムシモルを投与すると、元のスポットがヒトとサルの顔に反応するが、ヒトの顔には反応しなくなる事を見いだし、feedforward 投射がカテゴリーに影響を与えるような強い影響を持っている事を示す事に成功した。 音の定位に関係するマーモセットのCL領野から電気記録しながら、マーモセットの声を多様な方角からスピーカーで聞かせると、細胞によって好んで反応する方向が存在し、音源定位に関与していることが示された。また、この最も反応が強くなる方向が、実際に鳴いている動物の顔の画像の提示により、ズレる事を見いだした。この領域が腹話術効果などのような視聴覚連関に関して貢献していることが示された。また、他者が食べ物を取る際に、活動する神経細胞を側頭葉の上側頭溝領域のFSTで記録し、そこに蛍光トレーサーを注入し、それによって、光る領域前頭葉の領域から、自己の運動にも反応するミラーニューロンも発見した。このミラーニューロンは他者が、どのような方法で食べ物を取るかを区別する事が示され、模倣に関わる可能性が示された。
|