研究概要 |
ウィリアムズ症候群(WS)における顔への選好の特異性を明らかにするために,本年度新たに購入したアイトラッカー(Tobii)と行動データを同時計測可能なシステムを構築し,注視行動と反応時間および正答率の関係について研究を進めている.これまでの先行研究では繰り返しWS群における顔に対する選好があることが報告されているが,「どのように」選好するのかについては明らかにされてこなかった. 本研究では視覚探索パラダイムを用い,課題に関係の無い顔刺激に対してどのように注視行動が生じるかを反応時間および正答率を突き合せることにより検討をしている. WS群のデータ計測と併せて,生活年齢および精神年齢をマッチさせた定型発達群のデータについても現在収集中であり,現時点において約70名の幼稚園児,小学生のデータを計測した. 結果,WS群においては課題に関連の無い顔刺激に対して定型発達群よりも有意に注視し,かつ,反応時間も顔の出現により定型発達群と比較して有意に遅延が見られた. 現在,更なる解析(注視データの時間的な変化等)を行い,反応時間と注視行動の関係について調べており,WS群における顔への特異な選好のメカニズムについて明らかにする実験もすすめている.注視行動と反応時間などの複数の指標を組み合わせることにより,WS群における顔処理特性について更に明らかにしていく. また、従来WSに対して実施してきた、正立顔の同定についての心理学的検討、倒立効果の有無についての神経生理学的検討、心の理論の発達についての検討と合わせて、上記検討をカブキ症候群についても実施し、その疾患特性について検討を加える予定である。
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