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2011 年度 実績報告書

RNA顆粒Pボディーを介した環境応答

公募研究

研究領域植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで
研究課題/領域番号 23120508
研究機関東京大学

研究代表者

渡邊 雄一郎  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60183125)

キーワードDCPタンパク質 / P-ボディー / 環境応答 / RNA分解 / miRNA / RNAサイレンシング / 低温ストレス / 塩ストレス
研究概要

「P-ボディーの挙動」:我々はこれまで、環境応答に関与する遺伝子制御機構に興味を持ち、その機構に関わるタンパク質がP-ボディーと呼ばれる細胞質顆粒に局在することを明らかにしてきた。植物におけるP-ボディーの挙動を観察するため、上記のDCP1相補植物体を用いた。発芽3日程度の植物ではP-ボディーは植物体全体に観察されたが、特に茎頂分裂組織や根の分裂組織~伸長組織に多く見られた。これはDCP1が発生に必須の遺伝子であるという過去の我々の報告に一致する。発生の進んだ14日目の植物では植物体全体でP-ボディーの数が減少していたが。分裂組織ではまだ多くのP-ボディー顆粒が存在していた。更に発生の進んだ1ヶ月程度の植物では、分裂組織でかろうじて観察できる程度であった。このように、P-ボディーはストレスを受けない植物体では、初期発生に大事な役割を持っていることが確認できた。
「環境刺激とP-ボディー」:環境応答時のP-ボディーの動態を調べるため、上記のP-ボディー可視化植物、DCP1相補体に様々なストレスをかけ、その動態を観察した。発芽14日後の植物体に高温、低温、塩ストレスを与えたところ、コントロール植物に比べ、P-ボディーの数、大きさが共に有意に増加した。一方、塩ストレスを与えた植物はP-ボディー顆粒数に差はなかったが、大きさのみ増加していた。
「miRNAとP-ボディーの関係」:RNAサイレンシングも環境変化に応答して、遺伝子発現調節をして環境感覚に働くことが知られている。我々はRNAサイレンシングに必要な分子であるmiRNAとP-ボディーの関係を調べるため、P-ボディー構成要素であるdcp1,dcp2,vcs変異体における、miRNAの蓄積を調べた。その結果、dcp1,dcp2,vcs変異体では野生型に比べ、miRNAの数が減少していた。また、それらのmiRNAにより通常は抑制されているmRNA量がこれらの変異体で増加していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の主幹をなす、DCP1,DCP2が可視化できる植物を作り出し、正常な発生過程を遂げることを確認できたことで、今後の研究への貴重な材料を手にすることができた。種々の環境変化を与えてからの解析にかかっている。

今後の研究の推進方策

研究班の中に入って議論をすると、いくつかの研究者が冷温ストレスと植物の関係、塩ストレスと植物の関係などをみていることを知った。こうした研究者と共同研究などを通じて、ストレスの掛け方を厳密に同じように行い、お互いのデータを比較しやすくする努力をする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] miR165/166 and the development of land plants2012

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, J., Watanabe, Y.
    • 雑誌名

      Develop.Growth Differ.

      巻: 54巻 ページ: 93-99

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1440-169X.2011.01318.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RNA processing bodies, peroxisomes, Golgi bodies, mitochondria, and Endoplasmic Reticulum tubule junctions frequently pause at cortical microtubules2012

    • 著者名/発表者名
      Hamada, T., et.al
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol

      巻: 53 ページ: 699-708

    • DOI

      doi:10:1093/pcp/pcs025

    • 査読あり
  • [雑誌論文] NIMA-related kinases 6, 4, and 5 interact with each other to regulate microtubule organization during epidermal cell expansion in Arabidopsis thaliana2011

    • 著者名/発表者名
      Motose, H., et.al
    • 雑誌名

      Plant J

      巻: VOL.67 ページ: 993-1005

    • DOI

      DOI:10.1111/j.1365-313X.2011.04652.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 植物はどのように病原体を感知するのか2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Watanabe
    • 学会等名
      シンポジウム明治大学植物病原体ストレスの多様性と宿主応答
    • 発表場所
      明治大学生田キャンパス(神奈川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-26
  • [学会発表] Postrranscriptional gene regulation mediated by small RNAs in plant cytoplasm2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichiro Watanabe
    • 学会等名
      International Plant RNA workshop
    • 発表場所
      理化学研究所鶴見(神奈川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-06-21
  • [図書] RNAi and Plant Gene Function Analysis-Methods and Protocols2011

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, Y.分担執筆
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      Humana Press
  • [備考]

    • URL

      http://bio.c.u-tokyo.ac.jp/labs/watanabe/index.htm

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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