研究領域 | 植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで |
研究課題/領域番号 |
23120512
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西川 周一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10252222)
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キーワード | 小胞体 / 分子シャペロン / 高温ストレス / 花粉形成 / 品質管理 |
研究概要 |
研究代表者らは、小胞体品質管理で中心的な役割をはたす小胞体分子シャペロンAtERdj3Bの欠損が、シロイヌナズナでは高温ストレス下でポレンコート形成異常を伴った花粉成熟欠損を示すことを見いだした。本年度の解析で、AtERdj3Bによる小胞体品質管理の基質の候補として、花粉成熟過程における遺伝子発現に必要な細胞膜のLRR型キナーゼであるRpk2が得られた。実際に、AtERdj3Bに関する欠損株では、高温ストレス下特異的に、Rpk2の下流の遺伝子発現の抑制と小胞体局在型のRpk2の増加が観察された。これらの結果は、花粉成熟過程におけるAtERdj3Bの小胞体品質管理基質がRpk2であることを示すものである。aterdj3b欠損株を高温ストレス下で栽培すると、ポレンコート由来と考えられる異常な集積体が花粉表面に形成する。この異常な集積体の形成機構を明らかにするため、高橋グループとの共同研究による質量顕微鏡を用いた解析を開始した。現在、野生株の花粉を用いた実験条件の検討を進めている。糖タンパク質特異的な小胞体品質管理因子であるUGGTに関する変異株もまた、aterdj3b変異株と同様の高温ストレス下での不稔を示す。平成24年度に行う解析の準備としてuggt変異株への小胞体品質管理マーカーやRpk2-GFPコンストラクトなどの導入を行うとともに、aterdj3b変異とuggt変異の二重変異株の構築も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目的の第1であった、AtERdj3Bによる小胞体品質管理の基質の同定が行えたこと、また、平成24年度の解析の準備も計画通り進められたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にあった、質量顕微鏡を用いた解析、1細胞遺伝子発現解析グループとの共同研究は、研究1年目は実験を始めるにあたっての準備にとどまっている。班会議、若手ワークショップでのディスカッションで、実験の方向性が見えてきたので、2年目の研究ではこれらの共同研究をさらに推進する計画である。
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