研究領域 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト |
研究課題/領域番号 |
23120708
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
向井 苑生 近畿大学, 理工学部, 教授 (00097411)
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キーワード | 大気エアロゾル / 衛生解析 / 放射伝達計算 / 個別粒子解析 / 地上観測 |
研究概要 |
本研究は大気エアロゾル特性の広域分布導出を目指すものである。具体的には、地球大気モデルにおける放射伝達シミュレーションに地上計測や数値モデルを導入同化して、エアロゾル・リトリーバル手法の効率化と精度向上を目指している。特に実利用解析における実効性に留意した。エアロゾルモデル、地上計測、衛星データ処理の各項目において、本年度に新たに得られた結果に焦点を当てて順次報告する。 1.AERONETの広域長期データから提案されている6種類のエアロゾルタイプに共通適用できる近似的サイズ分布として、小粒子比率をパラメタとするバイモーダル対数正規分布を提案した。 2.可搬型放射計(Microtops-II)を導入して大気エアロゾルのローカルな空間変動を捉える事が出来た。 3.SEM-EDXを用いて,サンプリング採集したPM粒子の形態及び化学組成分析を行い,黄砂時の短い時間内における粒子組成の成分比の変化や黄砂粒子の非球形形状を検出した。 4.半無限大気モデル用の放射計算手法(順次散乱法)をMODISデータに適用し、南アメリカで発生した森林火災由来の煤煙粒子や中国北東部の黄砂嵐粒子のリトリーバルを実施した結果、地上計測値と矛盾しない大気エアロゾルのサイズ分布や複素屈折率を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
衛星データ処理と上観測に関しては,データ取得並びに解析アルゴリズム開発共に予定通りの進捗であった。ただ,モデルシミュレーションの空間時間分解能の精密化において若干遅れがあり,取得実データとの統合解析において充分な成果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
以下の研究項目のうち I【衛星観測】(1)衛星搭載の多種多様なセンサデータの統合システム構築と高精度解析手法 II【地上計測】(1)エアロゾル放射特性の地上計測の実施(2)SPMの直接計測と化学分析 III【数値モデル】(1)エアロゾル輸送モデルの導入(2)計測データ解析への結合実験 IV【総合解析】(1)基盤システム構築(2)環境影響評価(3)大気エアロゾルの全体像描写 前項でも述べたように作業III,IVに遅れがあるので,特にこの点に留意して研究を進める。
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