研究実績の概要 |
TobやCCR4-NOTの構造解析を進めた。 (1)C端側を、43アミノ酸残基と53アミノ酸残基を欠失させた、野生型Tob蛋白質(それぞれTob301,Tob291)を調製した。Tob301に比べTob291は発現量が3倍程度よく、約4リッター培養から3 mgの精製蛋白質を得た。結晶化に成功したが解析に適した回折は得られなかったので会合蛋白質との共結晶構造解析の準備を開始した。 (2)UV等によるDNA損傷依存的にTobをリン酸化し安定化させるキナーゼが、CGK733阻害剤感受性であることを見出していた。しかし、既知のCGK733感受性キナーゼである、ATRやATMにはそのような作用は見られなかった。一方で2D-DIGE法やin vitro リン酸化法を用いた研究から、Cdc7キナーゼがTobと会合しリン酸化しうることを示した。Cdc7によるTobのin vitroリン酸化実験から被リン酸化アミノ酸残基としてSer151, 153、205、並びにThr204を見出した。このうち、少なくともSer151のリン酸化は、in vivoでのTobの安定性増大に寄与することを示した。 (3)CCR4-NOT複合体の活性サブユニット中、直接会合することが示されているCNOT6LとCNOT7について、それぞれ全長配列を調製し、in vitroで会合させて複合体を精製し、結晶を得た。CNOT2とCNOT3の会合に関わるNOT boxをGST融合蛋白質として調製したが、精製過程でNOT box配列がグルタチオンセファロースに特異的に吸着することがわかり、調製方法の改善を図った。 (4)X線結晶解析用に昆虫細胞系でCNOT3を大量発現させたが、この配列も樹脂に吸着することが分かった。現在別法で調製するとともに、CNOT3をドメイン構造に基づいて3分割して結晶化解析に十分な量を調製した。
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