研究概要 |
全長のSwi5-Sfr1を大腸菌で発現させたところ、十分な量の発現がみられ、さらに純度よく精製することも可能であった。このサンプルをもとに結晶化も行ってきたが結晶が得られていない。Sfr1には構造をもたないと予想される領域が存在するため、安定なドメインを見つけるためにプロテアーゼ消化を行った。その結果Sfr1のN末端側は比較的切断されやすいことを見出した。そこでSfr1のN末側を約半分削ったコンストラクト(Sfr1C)を数種類作成し、Swi5と共発現させて発現・精製を試みた。その結果複合体の形(Swi5-Sfr1C)で純度よく精製することが可能であった。結晶化を試みたところ、最終的に分解能2.2Åの回折像が得られるような結晶が得られた。この結晶の空間群はP2_12_12で格子定数はa=88.2Å,b=128.7Å,c=60.0Åであった。この結晶中には非対称単位中に2複合体が存在している。位相を決定するためにセレノメチオニン置換体の試料を調整し、この置換体でも結晶を得ることに成功した。なお、Swi5-Sfr1Cはほぼ全長と同等の組み換え活性があることは確認している。 セレノメチオニン置換体のデータをもとに単波長異常分散法により初期の電子密度を得ており、現在はこの電子密度をもとにモデリングを行っている。Swi5-Sfr1Cは非常に細長い構造をとっており、両者のタンパク質にあるαヘリックスがロイシンジッパー構造を形成してヘテロ二量体化していた。また途中で大きく屈曲している領域があり、全体としてはブーメランのような構造をしている。
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