研究概要 |
本申請課題では,自然免疫系の受容体によるリガンド認識機構やシグナル伝達機構を主にX線結晶構造解析により明らかにすることを目的として,主に以下の3つのグループに焦点を当てて研究を進める。 1.核酸認識TLRs(TLR7,TLR8,TLR9)と核酸の複合体(抗ウイルス薬,ワクチン) 2.細胞内NLRs(Nod1,Nod2)とリガンドの複合体(クローン病,アレルギー) 3.TLRの輸送や機能を制御する蛋白質(RP1O5/MD-1,PRAT4A,B)(自己免疫疾患) 本年度は,核酸を認識する自然免疫系受容体のTLR7,TLR8,TLR9について,ショウジョウバエS2細胞での発現系を構築した。ヒトTLR7,マウスTLR7,マウスTLR9については精製条件を確立して,結晶化可能な量の蛋白質が得られるようになった。結晶化条件を検討して,ヒトTLR7/RNA複合体,マウスTLR9については既に結晶を得ており,今後条件を最適化して構造決定を目指す。 また,細胞内のNOD受容体について,ヒトとマウス由来のNOD1とNOD2受容体についての大腸菌発現系とS2細胞発現系を構築した。現在精製条件を検討している段階である。また,同時にリガンド結合ドメインおよび多量体化ドメインの欠損体の発現系も構築している。 TLRの機能を制御する蛋白質に関しては,TLR4/MD-2と相互作用してLPS応答に関与するとされているRP1O5/MD-1受容体についてヒトとマウス由来の蛋白質を調製,結晶化し,構造決定に成功した。これに関しては,既に論文報告している。今後はTLR4/MD-2との相互作用について検討する予定である。
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