b2ARを、95 %以上の純度、80 %以上の活性割合。90%以上のメチオニン残基のメチル基の13C標識率で調製する手法を確立した。 逆アゴニスト結合状態のb2ARのNMRスペクトルでは、概ね9個のメチオニン残基に対応するシグナルが観測された。一方、完全アゴニスト結合状態では、いくつかのシグナルが化学シフト変化および消失した。変異体を用いてシグナルを帰属した結果、リガンド依存的な変化を示したのは、M82、M215、M279であることがわかった。 このうち、M82に関しては、逆アゴニスト結合状態で、2個のシグナルを与えていた。これらをM82DおよびM82Uと呼ぶ。一方、formoterol結合状態では、carazolol結合状態とは異なる化学シフトに、1個のシグナルが観測されていた。これをM82Aと呼ぶ。各シグナルの化学シフトと、既知の結晶構造におけるM82の環境に基いて、M82DおよびM82UはGタンパク質を活性化できない不活性化状態に、M82AはGタンパク質を活性化できる活性化状態に対応すると結論した。 さらに、リガンドによりefficacyが異なる機構を明らかにするため、さらにアンタゴニスト、弱い部分アゴニスト、強い部分アゴニスト結合状態について、M82のシグナルの変化を解析した。その結果、これらの状態では、逆アゴニスト結合状態と完全アゴニスト結合状態の中間的な化学シフトを持つシグナルが観測され、efficacy依存的に連続的な変化を示した。また、これらのシグナルの化学シフトは、有意に測定温度依存的に変化した。以上のことから、各リガンド結合状態において、#61538;2ARは、M82D、M82Uに対応する不活性化状態と、M82Aに対応する活性化状態の間の平衡にあり、各リガンドのefficacyの違いは、活性化状態の割合の違いに起因することが示された。
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