研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
23121514
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石崎 敏理 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70293876)
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キーワード | Rho / mDia / アクチン細胞骨格 / Citronキナーゼ / 細胞質分裂 / Anillin |
研究概要 |
細胞分裂は、倍加した染色体を分離する有糸分裂と娘細胞を切り離す細胞質分裂からなり、細胞質分裂は、多くの細胞種で、アクチン・ミオシンを中心とする多くの分子群からなる収縮環の収縮により遂行される。しかし、収縮環を構成する蛋白質がどのように相互作用・協調し、このプロセスを司るかは不明な点が多い。このような蛋白質の中で、低分子量G蛋白質Rhoの2つmDia2とCitronキナーゼ(以後CitronK)が異なる時期に機能しており、本研究は、これら蛋白質の機能発現機構を明らかにすることを目的としている。 mDia2はanillinと結合し、収縮環に集積し、その結合はanillinのN末端1-30(a.a.)とmDia2のDID(diaphanous inhibitory domain)領域で起こることが明らかになっている。そこで現在、浦ia2及びanillinの安定な断片の詳細な検討をし、mDia2-anillin複合体の結晶化スクリーニングを行っている。 CitronKの機能を解析するために、CitronK RNAi細胞の生細胞観察を行った。その結果、細胞膜と連絡するmidbodyの構造が不安定化し細胞質分裂完了が失敗することが判明した。そこで、このCitronKの機能発揮機構を明らかにするため、RNAi回復実験を行った結果、CitronKのCC(Coiled-coil)領域のみで、表現型が回復した。さらに、CitronKのCC前半領域でKIF14と結合し、CitronKはmidbodyにリング状の局在を示すこと、一方、CC後半領域には、Rho結合とともに、細胞内でのクラスター化を担う部分が存在し、CitronKの機能での重要性を示唆する結果を得た。以上より、CitronのCC領域の二つQ異なる領域を介したMidbodyへの局在化とその構造の安定化が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、蛋白質複合体の結晶構造解析を行い、細胞質分裂での機能を解析するものであるが、結晶化スクリーニングにより得られる結晶が構造解析のresolutionを満たすものなならず、現在も最適条件の絞込みを行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
上記問題点を考慮し、引き続き結晶化スクリーニングを行う。加えて、Citronキナーゼの細胞質分裂時での機能解析については、細胞レベルでの知見について報告の準備を行うと同時に、CitornキナーゼーKIF14の複合体構造解析を実施する。
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