本研究では、小胞体積荷受容体によるGPIアンカー型およびN結合型糖タンパク質の分子認識および細胞内輸送機構の構造基盤の解明を目的としている。
糖タンパク質の細胞内輸送は、p24ファミリータンパク質やERGIC-53などの積荷受容体より担われていることが知られている。その中でも、ERGIC-53はカルシウム結合タンパク質MCFD2と複合体を形成することで、糖鎖とポリペプチド鎖を二重に認識していることが想定される特徴的な積荷受容体である。平成24年度は、主にERGIC-53による糖鎖認識の構造基盤を明らかにすることを目標とした。そこで、ERGIC-53、MCFD2、糖鎖リガンドモデル(α1-2マンノビオース)からなる三者複合体のX線結晶構造解析を行った。その結果、MCFD2および糖鎖リガンドと結合したERGIC-53の分子複合体の立体構造解析に成功し、本積荷受容体による糖鎖認識の構造基盤を初めて明らかにすることができた。
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