研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
23122508
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
浅井 直也 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80273233)
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キーワード | 血管-神経ワイヤリング / 神経発生 / 血管発生 / 細胞運動 / 遺伝子改変マウス / 網膜 |
研究概要 |
《血管と神経の組織特異的Girdinノックアウトマウスの解析》 Gridinノックアウトマウスには、網膜と大脳皮質における血管の発育障害と、嗅球・RMSと海馬における神経構造の異常が生じる。血管と神経の表現型に相互関係があるかを調べる目的で、血管と神経の組織特異的Girdinノックアウトマウスの解析を行った。血管特異的Girdinノックアウトマウスの網膜と大脳皮質を調べたところ、意外なことに、血管網の発達は正常マウスとほぼ同等であった。一方で、嗅球・RMSと海馬神経には明らかな異常は認められなかった。神経特異的ノックアウトマウスについては、現在、解析を行っている最中である。網膜および大脳皮質には神経と血管以外の組織要素は乏しいので、血管特異的ノックアウトマウスで血管異常が起こらないならば、神経特異的ノックアウトマウスに血管の異常が起こると予想され、血管と神経の相互作用についての新知見が得られることが期待される。 《RMSにおける神経組織の構築と血管構造のリモデリングの解析》 成体において、嗅球へ神経細胞を供給する神経前駆細胞の移動経路であるRMSでは、血管が移動経路に平行な走行を示す。RMSの発生において、E18.5~P3では脳室周囲に幅広く存在していた神経前駆細胞は、P7~成体では細く収束する。RMSの発生に伴う神経構造の変化と血管の構築との関連を調べる目的で、発生の各ステージでRMSにおける血管構造の発達を調べた。発生初期でRMSの幅が広いステージでは血管は網目状の構造であり、RMSが細く収束すると共に血管は平行な走行へと変化していた。これは、RMSにおける神経前駆細胞の移動と血管構造のリモデリングとの関連を示唆すると考えられた。今後、神経前駆細胞の移動が障害されているGirdinノッアウトマウスにてRMSにおける血管リモデリングを調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管および神経の組織特異的なノックアウトマウスを解析することで、血管と神経の相互作用に関する新たな知見を得ることが見込まれる。解析に用いる各種の遺伝子改変マウスについては、Jackson研究所から取り寄せて交配を進めていると共に、新規の変異マウスの作成も順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
神経特異的なGirdinノックアウトマウスの解析を進めて、網膜と大脳皮質における血管と神経の相互作用明らかとする。また、血管の発生に関与が知られている既知の因子について、ノックアウトマウスにおける発現や組織分布を調べることで、分子メカニズムについて検討を行う。 Jackson研究所から取り寄せたトランスジェニックマウスを用いて、時期特異的なGirdinノックアウトを行なう。RMSにおける神経前駆細胞の移動を発生の各ステージで止めた場合に、血管の構造がどのように変化するかを調べることで、神経前駆細胞の移動と血管リモデリングとの関連を明らかとする。
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