研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
23122514
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
力武 良行 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50419488)
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キーワード | Necl-5 / 血管内皮細胞 / 血管内皮増殖因子 / インデグリン / シグナル伝達 |
研究概要 |
血管系と神経系の間には共通の分子機構が存在し、直接に、あるいは微小環境を介して間接に相互作用が働いている。血管-神経ワイヤリングの成立機構に関してこれまでは外部環境のシグナル分子即ち、attractive cueを中心に研究されており,細胞内部の調節因子についてはまだ不明な点が多い。近年、血管内皮細胞を含む血管・血管周囲を覆うアストロサイト・これらから栄養を受ける神経細胞は一つの機能的ユニットとして捉えられ、neuro vascular unitと呼ばれている。本研究では、血管-神経ワイヤリングの成立に関与する血管系と神経系に共通する細胞内部の調節因子の機能と作用機構、およびneurovascular unitの微小環境との相互作用について検討している。血管内皮細胞は、細胞膜に発現する受容体やインテグリンなどの細胞接着分子を介して、シグナルを細胞内へ伝達するとともに、隣接する血管内皮細胞と接着して相互にシグナルの授受を行い、その機能を調節している。受容体やインテグリンと相互作用することが知られている免疫グロプリン様分子Necl-5のneurovascular unitにおける発現について検討した。Necl-5は大脳皮質毛細血管の内皮細胞に発現していた。培養血管内皮細胞を用いてNecl-5の機能について検討した。siRNAを用いてNecl-5をノックダウンすると、血管内皮増殖因子(VEGF)に応答した血管内皮細胞の管腔形成、遊走、増殖、生存はすべて抑制された。Necl-5をノックダウンすると、VEGFに応答したVEGF受容体とインテグリンとの結合は阻害され、細胞内シグナルのRap1-ホスファチジルイノシトール3キナーゼ-Aktシグナル伝達経路の活性化は抑制された。しかしながら、Necl-5欠損ノックアウトマウスでは血管の構築に異常は認めず、代償されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管内皮細胞におけるNecl-5の機能を解明し、その研究成果を論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Necl-5以外の分子に関する研究を推進する。
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