研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
23122519
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
菅田 浩司 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60508597)
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キーワード | 血液脳関門 / ショウジョウバエ / スクリーニング / 遺伝学 |
研究概要 |
脳内の血管内皮細胞は密着結合 (Tight junction; TJ) によって隣接細胞間の間隙を極小にする事で、荷電分子の脳実質へ受動拡散を阻止している (物理的バリア)。また、血管内皮細胞の血流側に局在する一連のトランスポーターは不要物を血流中へ能動的に排出する (化学的バリア)。この生体防御機構は血液脳関門 (Blood-Brain Barrier: BBB) と総称される。 本研究では、モデル動物であるショウジョウバエを用いて血液脳関門 (BBB) 関連遺伝子のスクリーニングを行い、その分子機構を生体レベルで解析する事を目的とする。これまでの BBB 研究では、Tight Junction 複合体に含まれる新たな分子の探索やそれを支持する細胞骨格に関する研究が多くなされて来た。本研究では、モデル動物の特性を活かして、特に BBB 制御における細胞外環境の意義に関する解析を目指している。この目的の為に、血管内皮細胞に非自律的な制御機構を担う分子の同定とその分子機構の解明を目指す。 平成23年度は、申請者が立案した in vivo スクリーニングを開始した。これまでに目的の表現型を示す複数の系統を得る事に成功している。表現型の再現性、ヒトホモログの有無、発現パターン等を解析する事で、これまでに複数の候補分子の抽出に成功した。次年度以降は、目的分子と物理的・遺伝学的に相互作用する分子の同定及び、これらが誘導する細胞内シグナル伝達機構の探索と解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的に沿った遺伝子を得ており、生体レベルでの解析及び生化学的な解析が進んでいる。従って、現在までの到達度は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
ショウジョウバエを用いた解析の最大の特徴は、表現型を指標として関連遺伝子の機能的な上下関係を生体レベルで解析できる点である。上述の通り解析は概ね順調に進んでいるので、今後は、必要な遺伝子組換え動物の作出や交配を行い、以後の遺伝学的な解析に用いて行く予定である。
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