本研究により、遺伝子組み換え技術を用いて、生きたままリンパ管が緑色に、神経が赤色に光るメダカの開発に成功した。そして、このメダカを蛍光実体顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡などのイメージング機器を用いて詳細に観察した結果、リンパ管と神経における解剖学的な走行の類似性を明らかにすることができた。これまで、魚類で末梢神経束の走行とリンパ管の走行の類似性を明らかにした報告はなく、本研究結果によりリンパ管と神経の相互作用の可能性という新たな研究分野を開拓する一歩となった。 さらに、このメダカの発生過程をin vivoイメージングにより観察したところ、神経束の走行形成より先にリンパ管形成が進むことが示唆された。計画当初の予想では、血管が神経によりガイダンスを受けるのと同様にリンパ管が神経によりガイダンスを受けると考えていたが、本研究結果から神経がリンパ管によりガイダンスを受ける予想とは逆の可能性が示唆された。
|