研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
23122524
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
永田 浩一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, その他部局等, 研究員 (50252143)
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キーワード | 大脳皮質 / 血管発生 / 神経発生 / セプチン / 低分子量G蛋白質Rap |
研究概要 |
大脳皮質形成過程と血管ネットワーク形成の相互連関を探る目的で、正常およびリーラー変異マウスを用いて胎仔発達過程の大脳皮質における血管網形成パターンを比較した。その結果、大脳皮質の層構造形成が乱れているリーラー変異マウスでは、血管網の規則的な分枝パターンも乱れていることを見出した。また、血管内皮細胞をGFPで可視化した遺伝子改変マウスを用いて、発達期大脳皮質における血管ネットワーク構築過程を、先端細胞の数と分布に着目して観察している。血管新生がマウス大脳皮質の層構造・細胞分布と関連するのかを検証中である。これらの解析と並行して、神経組織に多量に存在するセプチンであるSept8のノックアウトマウスを作出に取り組んだ。Sept8は血管内皮細胞にも発現しており、神経発生と血管新生に関連する可能性がある。現在までにホモのノックアウトマウスを得ており、順調に繁殖させている。一方、神経細胞・グリア細胞・血管内皮に存在するSept9の機能解析にも着手した。現在、ニューロンおよびアストロサイト特異的なSept9の作出も遂行中である。一方、Rap1ノックアウトマウスの作出が遅れていることから、Rap1の機能を明らかにする目的で、神経細胞特異的Rap1 活性化因子RA-GEF-1欠損マウスの解析を行った。その結果、発生過程を通じてこの遺伝子改変マウスの脳内に生じる異常細胞塊では、神経細胞が無秩序に存在すると共に血管網も規則性を欠いていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスを用いた個体レベルの実験は当初計画に沿って概ね順調に進展した。一方、細胞レベルの実験は、基礎実験の段階で予想外の結果が観察され、実験条件の最適化がまだ出来ていない状況にあるから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、発達障害のモデルマウスを用いて大脳皮質形成期の血管ネットワーク形成の分子機構の解析を進めたい。また、細胞レベルの実験として、培養血管内皮細胞と大脳皮質スライスを用いた神経細胞と血管の相互作用解析についても、用いる細胞腫を変えて実験を進めてゆきたい。
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