研究領域 | 血管ー神経ワイヤリングにおける相互依存性の成立機構 |
研究課題/領域番号 |
23122525
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
岸本 一郎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 糖尿病・代謝内科, 医長 (80312221)
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キーワード | ナトリウム利尿ペプチド / サイクリックGMP / 後根神経節 / 感覚神経 / 血管内皮細胞 / 樹状突起 |
研究概要 |
サイクリックGMP(cGMP)の下流エフェクターであるcGMP依存性プロテインキナーゼI(cGKI)を遺伝的に欠損した動物では、痛覚受容神経による脊髄への神経支配が著明に減少しておりまた痛み刺激に対する反応が低下していることが報告されている。当初ブタ脳から発見されたペプチドホルモンであるC-tvpe natriuretic peptide(CNP)は、その細胞膜側の受容体guanylyl cyclase-B(GC-B)を活性化して細胞内cGMP濃度を上昇することにより生物作用を発揮する。CNPは、循環器系では血管内皮細胞で生合成・分泌を受けることが明らかとなっており、血管と神経の相互作用を仲介する可能件がある。そこで本研究ではCNPの末梢神経構築および機能に及ぼす影響を解析することを目的とする。本年度は、まず末梢神経系におけるGC-Bの存在を証明するため、In vitroとIn vivoの評価系を構築した。In vitroで後根神経節(DRG)細胞初代培養系を確立し、細胞免疫染色によりDRG細胞にGC-Bの存在を証明した。特に樹状突起棘(dendritic spine)にGC-BとcGKIがともに局在しており、樹状突起形成や神経支配におけるCNPの影響が示唆されている。In vivoでは、末梢神経終末におけるGC-Bの局在を免疫組織染色で証明した。種々のマーカーとの共染色ではGC-Bは感覚神経のマーカーであるCGRPとその局在が一致していた。また、in situ hybridizationを用いてin vivoにおけるDRG細胞にGC-B遺伝子発現を証明した。GC-B mRNAは、DRG細胞の中でも特にsmall to medium size neuronに多量に発現しており、末梢感覚神経におけるCNPの役割が示唆されている。さらに神経細胞の構築と機能におけるCNPの意義について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体および培養細胞系でCNP受容体の評価系を確立し、この系を用いて神経細胞における存在を証明できた。この評価系を用いてさらに次年度のCNPの効果に関する検討につなげる基盤が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、感覚神経細胞の構築と機能におけるCNPの影響を生体および培養細胞系で証明する。GC-Bのconditional knock out用のベクター構築にはもう少し時間が必要であるが、その他現時点で研究を遂行する上での問題点は生じていない。
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