研究領域 | 神経細胞の多様性と大脳新皮質の構築 |
研究課題/領域番号 |
23123501
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斎藤 哲一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00202078)
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 遺伝子 / 発現制御 |
研究概要 |
大脳新皮質の初期の神経幹細胞は、多種類の神経細胞を生み出せる多能性を有し以降の幹細胞と異なるが、初期の神経幹細胞の多能性には不明な点が多い。そこで、初期の神経幹細胞内の分子機構を明らかにすべく、研究代表者等が発見したユニークな遺伝子のNeproを軸に、神経発生の研究を行った。Neproは発生初期の大脳新皮質で発現し、マウス胎仔への電気穿孔法などを用いた研究により初期の神経幹細胞の維持に必須であり、Notchの下流で機能することを研究代表者等が明らかにした。Neproを発現する細胞を生体内で詳細にモニターするとともにNeproをノックアウトすることを目的とし、当初の計画通り、Neproの遺伝子座に蛍光タンパク遺伝子のVenusがノックインされたマウスの作製を開始した。まず、NeproのゲノムDNAの第1エキソンの開始コドンからVenusタンパクが翻訳されるようにVenus遺伝子を挿入し、ES細胞の選別用にネオマイシン耐性遺伝子を持つDNAコンストラクトを作製した。このDNAコンストラクトをマウスES細胞へ導入後、サザン法などの選別によりノックインされたES細胞を得た。続いて、ES細胞をマウス胚盤胞へ注入しキメラマウスを作出後、キメラマウスの交配で得られた仔マウスのゲノムDNAを解析することにより、Nepro遺伝子座にVenusがノックインされたマウスを得ることに成功した。 一方、Neproの転写制御機構を解明すべく、上記のVenusがノックインされたDNAコンストラクトを細工し、Neproゲノムの領域に欠損を有するプラスミドを作製した。さらに、このプラスミドや研究代表者等が発見済みのNepro以外の遺伝子を、研究代表者が開発したexo utero電気穿孔法を用い、胎生11.5日の初期マウス大脳皮質へ遺伝子導入し、Neproの転写制御とNepro以外の遺伝子の機能の解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画のNeproノックインマウスの作製に関し、順調にES細胞やキメラマウスの作製に成功するのみならず、さらに一歩進みノックインマウスの作出へ至っている。ES細胞やマウスの解析などには時間を要するため、当初はキメラマウスの作製までを本年度の計画としたが、計画を上回る速度で進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の計画通りの方針で計画を上回る速度で進展しており、今後はNeproノックインマウスを用いた個体レベルでの機能解析やNeproと他の遺伝子との相互作用の解析などを推進する。
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