公募研究
平成24年度では、上衣細胞の長期的遺伝子発現による損傷脊髄における細胞系譜追跡と、神経細胞新生に着目した研究を行った。平成23年度に開発したアデノウィルスにTol2トランスポゾンを組み込んだシステムを用いて脊髄上衣細胞にパルミトイル酸修飾残基を付加したpalEGFPを発現させた1週間後に脊髄損傷を作成し、標識上衣細胞の細胞動態を追跡した。標識上衣細胞は損傷後1,3日後においてその一部が上衣細胞の層より離脱した部位にて認められ、それらはnestin及びvimentin陽性かつGFAP陰性細胞として観察された。しかし、1週間、2週間、1ヶ月後においてその細胞体における標識は消失し、突起構造のみが観察された。こうしたpalEGFP標識突起構造は、nestin、vimentin、GFAP、NG2、Tuj-1、MAP2等の細胞系譜マーカーのいずれもが陰性であり、その細胞系譜を同定する事は不可能であった。神経細胞新生については、神経細胞新生・グリア細胞新生調節に関わる遺伝子に対するmicroRNAベクターを作成し、レポーターとしてルシフェラーゼ直下にmicroRNAに相補的な遺伝子配列を配したベクターと、対照としてレニラルシフェラーゼを発現するベクターを作成し、293細胞を用いてmicroRNAによるルシフェラーゼ発現ノックダウン効果を確認した。作成した3種のベクターのいずれもノックダウン効果を示した。次にターゲット遺伝子を発現するラットグリオーマ細胞であるC9細胞にmicroRNA発現ベクターを導入した。RT-PCR及び免疫組織化学により、mRNA及び蛋白質レベルでの遺伝子ノックダウン効果が確認された。更にmicroRNA発現ベクターを構築し、脊髄上衣細胞への遺伝子導入を行った。これにより、特定遺伝子のノックダウンが確認され、GFP標識細胞の神経細胞への分化が確認された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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