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2011 年度 実績報告書

再生ニッチにおける多様な再生細胞の系譜と機能の解明

公募研究

研究領域3次元構造を再構築する再生原理の解明
研究課題/領域番号 23124503
研究機関東京工業大学

研究代表者

川上 厚志  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (00221896)

キーワード小型魚類 / 再生 / 細胞系譜 / トランスジェニック
研究概要

多細胞生物は、組織ホメオスタシスを持ち、組織を再生しながら多細胞体制を長期に維持する。しかしながら、この分子・細胞的基盤は不明な点が多い。私達は、先行研究から、魚類(ゼブラフィッシュ)の尾部の再生組織が、従来考えられてきた再生芽と傷(再生)上皮という大まかな区分よりも、多数の細胞小集団から構成されていることを見いだした。これら細胞の機能と相互作用が、組織再生を達成する上で重要と推測される。そこで本研究では、(1)それぞれの細胞集団が再生時にどのような機能と周囲の細胞との相互作用を行っているかを明らかにすること、(2)それぞれの再生細胞がどの細胞を起源として生じ、再生後どの細胞へ分化しうるのか明らかにすることを目指す。今年度は以下の点について研究を進めた。
1) 再生組織を構成する細胞団の役割と相互作用の解析のための細胞アブレーション法の確立: 再生細胞にニトロリダクターゼ(NTR)を発現させて再生組織のサブセットの細胞を除去する。この際、再生に応答して活性化される遺伝子プロモーターによって細胞特異的にCreを発現させ、cre-lox組み換えによって、強力でユビキタスなプロモーター下においたNTRの発現を誘導する。これによって、子孫細胞を含めた標的細胞を完全に除去する。本年度は、我々が発見したゼブラフィッシュでユビキタスに動くプロモーターを用い、NTR-EGFPを誘導可能なゼブラフィッシュ系統の作製を行った。
2) 再生細胞の起源、分化能力の解析: 再生細胞が均一で未分化な細胞集団であるか、または分化能力の限定された前駆細胞の集まりであるのか完全には明らかになっていない。本研究では、Cre-loxによるin vivo組み換えを利用した、細胞のラベルと子孫細胞の追跡から、再生細胞の起源と多分化能について検証する。このため、再生細胞のサブセットに発現するいくつかのCreドライバーの作製を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

23年度中に、予定していたユビキタスにDsRedを発現し、Creに依ってEGFPまたはNTR-EGFPに発現が変化するレポーター系統の作製がほぼ完了した。しかし、Creを発現するトランスジェニック系統の作製を終了する予定であったが、計画のコンストラクトでは充分に効果が得られないことがわかり、検討と再作成を繰り返したため予想外の遅れとなった。

今後の研究の推進方策

現在、上記の計画の遅れの原因となったコンストラクトの問題は解決し、順調にCreドライバー系統の作製が進んでいる。今後、数ヶ月をめどにCreドライバー系統の作製を終了し、レポーター系統と掛け合わせを経て、細胞系譜解析を開始する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Filamin C plays an essential role in the maintenance of the structural integrity of cardiac and skeletal muscles, revealed by the medaka mutant zacro2012

    • 著者名/発表者名
      Fujita, M., Mitsuhashi, H., Isogai, S., Nakata, T., Kawakami, A., Nonaka, I., Noguchi, S., Hayashi, Y.K., Nishino, I., Kudo, A.
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 361 ページ: 79-89

    • DOI

      doi:10.1016/j.ydbio.2011.10.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mature and Juvenile Tissue Models of Regeneration in Small Fish Species2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshinari, N., Kawakami, A.
    • 雑誌名

      Biological Bulletin

      巻: 221 ページ: 62-68

    • 査読あり
  • [学会発表] Towards understanding tissue regeneration and homeostasis mechanism using fish regeneration models2011

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Kawakami, Natsumi Horita, Tomomi Kushida, Kazunori Ando, Emiko Murase, Nozomi Yoshianri, Masato Kinoshita, Genbu Abe, Koichi Kawakami, Tohru Ishitani
    • 学会等名
      The21st CDB Meeting "From Regeneration Biology to Regenerative Medicine (I)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20111124-20111125
  • [学会発表] A mechanism that controls blastema cell proliferation and survival during fin fold regeneration2011

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Hasegawa, Teruhiro Nakajima, Takashi Ishida, Atsushi Kawakami
    • 学会等名
      The21st CDB Meeting" From Regeneration Biology to Regenerative Medicine (I)
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20111124-20111125
  • [学会発表] 魚類における2つのフィブロネクチンの再生における働きの解析2011

    • 著者名/発表者名
      村瀬瑛美子、工藤明、川上厚志
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-13
  • [学会発表] ゼブラフィッシュ再生ひれにおける細胞除去:トランスジェニック作製とプロドラッグ、ニトロリダクターゼを用いた細胞除去2011

    • 著者名/発表者名
      安藤和則、吉成望、工藤明、川上厚志
    • 学会等名
      第44回日本発生生物学会大会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2011-05-20
  • [学会発表] ゼブラフィッシュ膜ひれ再生における再生芽の増殖と生存の調節2011

    • 著者名/発表者名
      川上厚志、中島輝弘、石田高志、工藤明
    • 学会等名
      第44回日本発生生物学会大会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2011-05-19
  • [備考]

    • URL

      http://www.kudo.bio.titech.ac.jp/Index2.htm

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公開日: 2013-06-26  

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