公募研究
細胞核における核内染色体は高度に区画化された「染色体テリトリー(CT)」を持ち、一般に、物理サイズが小さく、遺伝子密度が高いCTは核の中心付近に配置され、物理サイズが大きく、遺伝子密度が低いCTは核膜周辺部に配置される傾向があり、そのトポロジーはヒトから霊長類、ニワトリに至るまで進化的に高度に保存されている。本研究では、CTの放射状核内配置(核の中心から外側に向けての核内配置)の特性に着目し、すでに開発済みであるPeriphery DNA Probe(Pプローブ)とInterior DNA Probe(Iプローブ)を用いて、3D-FISH法によりゲノム空間配置のゆらぎの度合いを調べ、ゲノム構築原理の特性を明らかにすることを目指している。ヒト神経膠芽腫細胞株(T98G、YKG-1、A-172、LN-229、U-87MG)にて放射状核内配置が撹乱されている傾向があり、その詳細を調べるために各細胞株を培養し、中期染色体標本および細胞核3次元構造保持3D-スライド標本を作製し、PプローブとIプローブおよび18番、19番染色体CTプローブを用いた3D-FISH法を行い、共焦点レーザースキャン顕微鏡による画像取得を完了した。ゲノム配置の特性を調べた結果、LN-229では、18番CTはP領域とI領域の両方に分布し、19番CTはI領域に比較的多く分布していた。これに対しU-87MGでは、18番CT、19番CTともにP領域とI領域の両方に分布し、19番CTはP領域に比較的多く分布していた。P、I両領域プローブは両細胞株ともそれぞれのP領域とI領域に分布していた。「ゆらぎ度」の高い順に整理すると、T98G、YKG-1、U-87MG、A-172、LN-229であった。また、核内配置制御に関連する候補因子を選定し、Talen遺伝子ノックアウト実験を組み合わせた解析を進めた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Cell Science
巻: 125 ページ: 3739-3743
doi: 10.1242/jcs.103903
Chromosome Research
巻: 20 ページ: 659-672
DOI 10.1007/s10577-012-9300-5
http://www.esb.soken.ac.jp/faculty/index.html