Rosa26座位へのflox-stop-floxカセットとFoxO1あるいはSirt1のcDNAを挿入したノックインマウスを作成し、それらをPomc-creマウス、Agrp-creマウス、あるいはPdx1-creマウスと交配して視床下部ニューロンに特異的にFoxO1やSirt1を発現するノックインマウスを作製した。Pdx1-creマウスを用いたマウスでは組織免疫染色とウエスタンブロット法を用いて、脳の中では視床下部に、末梢では膵臓のみに特異的にFoxO1が過剰発現していることを確認した。一方、Pomc-creマウスでは視床下部の弓状核の他に下垂体や延髄の孤束核に発現が見られた。Agrp-creマウスは弓状核に特異的な発現パターンであった。Pdx1-creマウスとRosa26-FoxO1マウスを交配したマウスでは摂食量の増加、エネルギー消費の減少を伴って、肥満を呈した。一方、Pomc-creマウスとRosa26-Sirt1マウスを交配すると、摂食量は変化せずにエネルギー消費が亢進し、体重は減少した。Agrp-creマウスとRosa26-Sirt1マウスの交配では、摂食量が有意に減少して体重が減少した。また、アデノウイルスを用いた系では、Sirt1のアデノウイルス自体では摂食量や体重、エネルギー消費に影響は認められなかったが、FoxO1のアデノウイルスで摂食量が増加し、体重が有意に増加しているものが、同時に投与したSirt1のアデノウイルスにより抑制され、摂食量と体重がコントロールと同じ程度に回復していた。
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