研究領域 | 食欲と脂肪蓄積の制御と破綻の分子基盤の解明 |
研究課題/領域番号 |
23126504
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
南野 徹 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90328063)
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キーワード | 心不全 / BDNF / 心筋梗塞 |
研究概要 |
Brain-Derived Neurotrophic Factor(BDNF)は脳内で産生分泌される神経栄養因子であるが、摂食を抑制的に制御することも知られている。以前より、動脈硬化・虚血性心疾患の危険因子の一つとして、うつ病気質が提唱されている。一方、脳内でのBDNF産生が低下するとうつ病の原因となることが報告されている。また、BDNFのノックアウトマウスのホモ接合体は、胎児期に心不全を起こして死亡することも報告されている。これらのことから、BDNFが心血管系に対して病態生理学的な役割を果たしていることが示唆される。そこで我々は、BDNFと虚血性心疾患の関係に注目し検討した。まず、全身性のBDNFノックアウトマウスは死亡するため、BDNFの誘導型コンディショナルノックアウトを作成した。これらのマウスに心筋梗塞を作成してみると、梗塞後の心機能は悪化していた。また、心筋細胞特異的にBDNFの受容体(TrkB)を欠損させたマウスを作成しところ、同様に梗塞後の心リモデリングの進行を認めた。これに対して、心筋細胞特異的にBDNFを欠損させたマウスを作成し、心筋梗塞を作成してみると、梗塞後の心機能は野生型マウスと比較して変化はなかった。さらに検討を進めたところ、心筋梗塞後に中枢神経系や血液中のBDNF濃度が上昇していることがわかった。そこで、心臓から中枢神経系への求心性繊維を薬理学的にブロックしたところ、中枢神経系や血液中BDNF濃度の上昇が消失し、梗塞後の心機能は悪化した。また、中枢神経特異的にBDNFを欠損させたマウスにおいても、血液中BDNF濃度の上昇が消失し、梗塞後の心機能は悪化した。以上の結果より、心筋梗塞後には中枢神経を介してBDNFの発現が調節され、心臓保護的に働いていることが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、中枢や末梢組織におけるBDNF/TrkB axisが生活習慣病に与える影響はどのようなものか?中枢や末梢組織におけるBDNFの欠失、あるいは、TrkBの欠失が、摂食や代謝・脂肪蓄積にどのように関与するか?を解明することが目的であった。今回は、当初提案した計画の一部である中枢性のBDNFの生活習慣病に対する作用の解明に関する計画が順調に進んでいると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
中枢や末梢組織におけるBDNF/TrkB axisが生活習慣病に与える影響に加えて、組織特異的BDNF/BDNF受容体欠失マウスを確立し、摂食や末梢組織への影響を検証していく。
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