【背景】我々はメタボリック症候群の病態に深く関与する遺伝子群を同定するために、内臓脂肪蓄積を来し2型糖尿病・高血圧・脂質異常症を発症するOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) ラットを用いて内臓脂肪特異的な遺伝子群のスクリーニングを施行し新規アディポサイトカインvaspinを同定しその意義について研究している。その過程で膜蛋白質であるACAM (Adipocyte adhesion molecule)とGpnmb/OA (Osteoactivin)を同定した。 【目的】Gpnmbは膜蛋白でその可溶性分泌型が報告されているが肥満での役割は不明である。 【方法】GpnmbのR150X変異を有するDBA/2JマウスからGpnmb欠損(KO)マウスを作成し、さらにaP2プロモーターを用いてTgマウスを作製した。またGpnmbのELISAを用いて血中濃度の検討を行った。 【結果】高脂肪食飼育KOマウス、Tgマウスでは野生型と比較して体重・内臓脂肪重量に有意差はなかったが、Tgマウスで肝への脂肪沈着、線維化が著明に抑制された。またELISAにより血中の可溶性分泌型の存在を示され、野生型マウスでは肥満によって血中濃度が上昇し、Tgマウスではさらに血中濃度が上昇していた。 【結論】Gpnmb過剰発現による脂肪肝改善の分子機構として可溶性分泌型の肝組織への抗炎症効果や抗酸化作用が示唆された。
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