研究領域 | 食欲と脂肪蓄積の制御と破綻の分子基盤の解明 |
研究課題/領域番号 |
23126518
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
斎藤 祐見子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (00215568)
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キーワード | 摂食 / Gタンパク質共役型受容体 / 神経ペプチド / カルシウム / Gタンパク質 |
研究概要 |
本研究では、摂食調節への関与を裏付ける証拠がありながらも「受容体-内在性リガンド」の組み合わせが未だ解決しないシステムを標的とする。すなわち摂食に関与する(1)脳に局在するオーファン受容体の情報制御分子及び内在性リガンド同定(2)視床下部に局在するオーファンペプチドに対する受容体同定を行う。(1)についてはBRS3(bombesin receptor subtype-3)を標的とした。BRS3欠損マウスは中度肥満・過食・高血圧・血中インシュリンレベル上昇を示す。BRS3選択的アゴニストの連続投与によりマウス・ラットともに摂食量が減少・ヤセへ、逆にアンタゴニスト投与により過食・体重増加となる。しかし多くの努力に関わらず、BRS3の内在性リガンド探索は未だに成功していない。H23年度は(1)の解決のために、まずBRS3機能発現の条件(細胞株、遺伝子導入試薬の種類と量)を検討し、最適化を行った。次に、BRS3細胞内情報伝達系を調節する細胞内分子の同定を試みた。RGS蛋白質はG蛋白質αサブユニットに対して抑制または亢進因子として働き、GPCRシグナル伝達の強さ、持続時間および正確さに深く関与する。30種類以上あるRGSのどれがBRS3と選択的に相互作用し、Gシグナリングを調節するのか未解決であった。脳において高発現し、それぞれのC末端にHA-tagを付加したRGSプラスミドを用意した。次にBRS3高発現細胞に各RGSをそれぞれトランスフェクション後、合成アゴニスト刺激により誘起される情報伝達系を選択的に修飾するRGSを探索したところ、RGS8のみが情報の調節に関わることが初めて判明した。RGS8による阻害機能はBRS3のニワトリホモログ受容体BRS3.5においても検出できた。今後はこの両方の発現系は今後のリガンド同定に役立つことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度においてBRS3の機能発現系を最適化し、細胞内情報伝達系を調節する分子が同定できた。初年度としてはポジティブな結果を得ることが出来た。この系を次年度に適用し、リガンド探索に生かすことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
摂食に関与する(1)脳に局在するオーファン受容体の情報制御分子及び内在性リガンド同定(2)視床下部に局在するオーファンペプチドに対する受容体同定を行う。(1)についてはカイメンに共在する多くの細菌群から抽出したDNAをライブラリー化した「メタゲノムライブラリー」を新規創薬資源とする。既にBRS3発現系に各ライブラリークローン由来物質を適用し、細胞内シグナル応答の評価を行っている。(2)については神経細胞由来各種培養系にオーファンペプチドCARTをアプライし、鍵となるリン酸化酵素の検出を進行中である。
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