Sirtuinは進化的に保存されたNAD依存性デアセチラーゼ又はADPリボシルトランスフェラーゼであり、哺乳類においては7種類のファミリー蛋白質(SIRT1-7)が存在している。核に存在するSIRT1、SIRT6およびミトコンドリアに局在するSIRT3、SIRT4についてはその活性亢進により糖脂質代謝が改善することが報告されている。 一方、核小体に局在することが報告されているSIRT7は、リボソームRNAの転写に関与していることが報告されているが(Ford E. Genes Dev 2006)、代謝との関連については全く不明である。H23年度において、研究代表者はSIRT7ノックアウトマウスの解析を行った。ノックアウトマウスおよびコントロールマウスに高脂肪食を負荷し、組織学的検討を行ったところ、摂食量に差を認めないにも関わらず、ノックアウトマウス肝における脂肪蓄積の抑制が認められた。肝臓内脂質を抽出し中性脂肪含量を測定したところ、有意な抑制が確認された。一方、骨格筋における脂肪含量には変化が認められなかった。以上の結果から、SIRT7のノックアウトにより、高脂肪食負荷に対する肝臓内脂肪蓄積が選択的に抑制されることが判明した。SIRT7ノックアウトマウスとコントロールマウスの肝臓において発現している遺伝子の発現について検討したところ、ノックアウトマウス肝における脂肪酸トランスポーターであるCd36の発現が低下していることが明らかになった。Cd36の発現低下がSIRT7ノックアウトマウスの表現型に関与している可能性が考えられた。
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