Sirtuinは進化的に保存されたNAD依存性デアセチラーゼ又はADPリボシルトランスフェラーゼであり、哺乳類においては7種類のファミリー蛋白質(SIRT1-7)が存在する。核に存在するSIRT1、SIRT6およびミトコンドリアに局在するSIRT3については、その活性亢進により肝における糖脂質代謝が改善することが報告されている。 SIRT7は核(特に核小体)に局在するsirtuinであるが、代謝との関連は不明である。そこで高脂肪食負荷SIRT7ノックアウトマウスについて検討を行ったところ、ノックアウトマウスの肝における中性脂肪含量の低下およびインスリン感受性・耐糖能が良好であることが明らかになった。SIRT7ノックアウトマウスおよびコントロールマウスの肝臓における発現遺伝子について検討を行ったところ、ノックアウトマウス肝において、脂肪酸トランスポーターであるCd36の発現が低下していることが明らかになった。Cd36遺伝子発現は核内受容体型転写因子であるTR4により制御されていることが知られている。そこでTR4の発現レベルについて検討を行ったところ、TR4 mRNAの発現量はノックアウトとコントロールマウスで同程度であったが、TR4蛋白量についてはノックアウトマウスにおいて有意に低下していることが判明した。 SIRT7は転写因子TR4の肝における発現を蛋白レベルで制御することで、肝における脂質蓄積量を制御している可能性が考えられた。
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