研究領域 | 食欲と脂肪蓄積の制御と破綻の分子基盤の解明 |
研究課題/領域番号 |
23126525
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
豊島 秀男 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (20197966)
|
キーワード | 糖尿病 / 消化管ホルモン / 新規分泌タンパク |
研究概要 |
近年、消化管ホルモンの1つであるGLP-1を標的とした糖尿病治療薬が臨床応用され始めており、今後の糖尿病の治療を大きく変える可能性が注目されている。我々は、これまでに新規消化管ホルモン因子としてIBCAP(Intestinal Beta-cell Augmenting Promoter)を同定し、解析を行ってきた。 このIBCAPはインスリン分泌促進作用を示すなどインクレチン様作用を持つことから、糖尿病治療の標的となり得る可能性を秘めている。本研究ではIBCAPと食欲あるいは肥満との関与を明らかにし、今後の臨床応用のための基礎基盤の確立を目的に行った。 まずIBCAP遺伝子トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスでの食欲・体重との関連を解析したところ、遺伝子型による有意な差は認められなかった。現在これらのマウスに高脂肪食負荷を行っており、肥満になった時の表現型を今後解析する予定である。 IBCAPの活性化は切断された後、IBCAPペプチドとなって活性体となることが予想される。さらに強い表現型を確認するために、現在活性体の1次構造を決定させるよう精製・構造解析を行っている。具体的には、IBCAP強制発現細胞培養上清から精製しており、今後LC-MS/MS解析やアミノ酸シーケンスを行う予定である。 また、IBCAPの評価系として膵β細胞の増殖を指標とした新たなAssay系を開発した。これにより、従来までの系より簡便に正確な評価が可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在IBCAPと食欲肥満との関連について検討している。その他として、IBCAPペプチドの1次構造解析は精製が一段落し、順次構造解析を行いつつある。また、その活性の評価方法としてより簡便で正確な方法を開発ができているために、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者はあらゆる研究において連携研究者と協力してグループで常時研究結果を元に討論し、方向性や研究方法の改善を図りながらIBCAPの機能解析を進める。また、研究代表者は適宜、学会・セミナー等で情報収集し、研究を進める。 IBCAPは、新しい消化管特異的な分泌因子であり、これまでに明らかとなっているホルモンとの相同性は見られていないため、その機能を明らかにすることは、困難を伴い、計画通りに進まない可能性も考えられる。しかしながら、本研究の中で並行して行っている、基礎から応用への研究で得られる新たな知見を参考にしながら、地道に研究を進め、検討を進めていくほかないと考えられる。
|